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深海の「首なしチキンモンスター」が初めて南極で撮影される

2021.01.27 Wednesday

2018.10.24 Wednesday

Point
・「首なしチキンモンスター」ことユメナマコは、遊泳性のナマコで今まではメキシコ湾でのみ確認されていた
・南氷洋の深海にカメラを下ろして撮影したところ、ユメナマコを発見
・他にも、複雑な生態系を含む発見があり、今後生態系保護の政策に役立てる予定

また奇妙な深海生物が激写されました。

むき出しの心臓のようにも見えるこの生き物。海外では「首なしチキンモンスター“Headless Chicken Monster”」と呼ばれています。「断首後にむしられた鶏」に似ているというちょっと残酷な理由です。しかしこの動物、もちろん鶏でもモンスターでもありません。

これは“Enypniastes eximia”という遊泳性ナマコで、和名では「ユメナマコ」といいます。これまで野生の個体はメキシコ湾でしか見つかっていませんでした。しかし今回、オーストラリア南極観測局の科学者が、世界で初めて南極東部の南氷洋での撮影に成功したのです。

ユメナマコは通常6センチから20センチの長さで、大人の体色は暗い赤寄りの茶色から真紅、若い個体は淡いピンクです。普通ナマコは海底でほとんどの時間をすごしますが、ユメナマコのような遊泳性ナマコは、ふだん海中を漂い、餌を摂るときだけ海底に降りてきます。

動画では、ユメナマコが海底を這って歩く奇妙な姿が映し出されています。ナマコにあまり動くイメージはありませんが、体の下には管足という吸盤のある足がたくさん生えており、自由自在に歩くことができます。

ユメナマコの短い胸ビレは手羽のように見えるし、そのヒレは腿肉に見えなくもありませんも。そのまま鍋に放り込んでスープが作れそうです。しかし、このナマコを見た人すべてが鶏肉を思い浮かべたわけでもありません。ネット上では、「フリルの付いた枕カバー」「空飛ぶ血まみれリス」「ヒレ付き生ステーキ」「マシンラーニングAIが描いた魚」と言い表す人たちも。…少しユメマナコに同情心がわくラインナップです。

今回調査されたのは、南氷洋の3kmの深海です。使用したカメラシステムはとても頑丈で、船の上から落としても、深海の高い水圧がかけられても壊れません。そしてこのカメラを釣り糸に装着して深い深海へと降ろしたところ、ユメナマコの発見に成功したのです。

深海の生態系は壊れやすく、商業的な漁が存続を脅かしているといいます。今回の記録は、生態系保存のための政策づくりに一役かってくれることでしょう。

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via: Live Science/ translated & text by SENPAI

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