連続殺人鬼「ジャック・ザ・リッパー」の正体、ついにDNA検査で判明!?

history_archeology 2019/03/19
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Point
■新たなDNA鑑定により、「ジャック・ザ・リッパー」の正体が判明した
■犯人は、当時23歳のポーロンド系ユダヤ人であるアーロン・コズミンスキーである可能性が高い
■被害者の衣服から摘出されたDNAが、コズミンスキーの子孫のものと一致した

某スマホゲーム好きの方には、ちょっとがっかりな結果かもしれません。

19世紀末のロンドンで、娼婦の女性をターゲットに殺害を繰り返した正体不明の殺人鬼「ジャック・ザ・リッパー」、またの名を「切り裂きジャック」。事件は迷宮入りし、1世紀以上を経た現在でも犯人は解明されていませんでした。

しかし、リヴァプール・ジョン・ムーア大学による新たなDNA鑑定の結果、あるポーランド人理髪師のDNAと一致したのです。

研究の詳細は、3月12日付けで「Journal of Forensic Science」に掲載されています。

Forensic Investigation of a Shawl Linked to the “Jack the Ripper” Murders
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/1556-4029.14038

未解決の「切り裂きジャック事件」とは

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1888年の8月〜11月、ロンドンのイーストエンドおよびホワイトチャペル周辺で、5人の娼婦が次々と殺害される事件が発生しました。正体不明の犯人は「切り裂きジャック」と呼ばれ、この5件以外にも10人以上の被害者がいたともいわれています。

被害者のほぼ全員が、道で客寄せしていたところにメスのような鋭利な刃物で喉を裂かれ、殺害されています。しかしジャックがここまで語り継がれるのは、被害者の体を全身にわたって切り刻み、子宮や腎臓といった特定の臓器を摘出したという異常さからでしょう。その手口は、明らかに人体解剖の知識に通じている者の犯行だといわれています。

また、署名入りの犯行予告を新聞社に送りつけるなど、歴史上初の劇場型殺人鬼でもあります。

しかし、犯行は11月に突然ピタリと止み、事件は迷宮入りに。そして、「切り裂きジャック」の名だけが1人歩きし、歴史上最も神話化された連続殺人鬼となったのです。

では、彼の犯人像は一体どのようなものだったのでしょうか?

犯人は誰だ?

犯行現場には、「ユダヤ人は理由もなく責められる人たちではない」という壁の落書きも残されており、医者やユダヤ人が犯人の筆頭格に上がっていました。その被疑者の1人として挙がっていたのが、ポーランド人理髪師であるアーロン・コズミンスキーです。

Credit: Wikimedia Commons/アーロン・コズミンスキーの肖像画

当時、23歳だったアーロン・コズミンスキーは精神不安定で、刃物を持って外をうろつくなどで警察からも危険視されていました。後半生は精神病院で暮らしていましたが、その入所時期は、ジャックによる連続殺人が止まったすぐ後のことだったのです。

有力な説だと思われた「ジャック=コズミンスキー説」。ところが彼の筆跡は、ジャックが送ってきた犯行予告と一致せず、証拠も不十分であるため、当時の裁判では不起訴となりました。その後、コズミンスキーは、1919年に精神病院で息を引き取りました。

新たなDNA鑑定で犯人を特定

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迷宮入りかと思われたこの事件に光を射したのが、現代のDNA鑑定です。リヴァプール大学の生化学者Jari Louhelainen氏と研究チームは、ジャックのものと思われる体液が付着した被害者のショールに対し、新たにDNA鑑定を実施。衣服は、4番目の犠牲者であるキャサリン・エドウッズのもので、血液の他に精液が見つかっています。

そこからチームは、「ミトコンドリアDNA」と呼ばれる、母性遺伝のDNAを摘出し、拡大観察。そのDNAを、現在も存命中である被害者エドウッズと、犯人の疑いのあるコズミンスキーの両子孫から採取したDNAと比較しました。

すると、衣服のDNAがコズミンスキーの子孫のDNAと見事に一致したのです。さらに彼はポーロンド系ユダヤ人であり、犯行現場の落書きの件ともつながります。また今回のDNA鑑定では、犯人が茶色の瞳と毛髪をしていることが特定できており、それもコズミンスキーと一致するのです。

今回の研究は、これまで行われてきた中でも、分子レベルで実施された初の詳細な研究であり、結果にほぼ間違いないとのこと。

しかし、この結果が決定的でないとする意見もあります。

というのも、衣服から摘出されたミトコンドリアDNAは、主に科学捜査で使われる核DNAほど正確な分析ができないのです。核DNAの遺伝による変異率は0.3%以下なのですが、ミトコンドリアDNAはそれよりもずっと高く正確性に劣ります。

ただ、驚くほど、ジャックとコズミンスキーに共通点が見られるのも事実です。理髪師は、(あくまでも中世時代の話ですが)簡単な外科手術も行なっており、コズミンスキーも医術に興味があったのかもしれません。

残るは筆跡の問題ですが、もし彼の精神病が多重人格的なものだとすれば、ジャック人格で筆跡が変わった…ということも有り得ます。未だに謎が残る事件ではありますが、一旦幕を引いたといってもいい研究結果なのではないでしょうか。

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reference: zmescience / written by くらのすけ

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