南大西洋を大横断!?4本足のクジラの化石がペルーで発見される

animals_plants 2019/04/05
Credit: A. Gennari/CellPress
Point
■2011年、約4,260万年に存在した4本足を持つクジラの化石がペルー沿岸で見つかった
■ひづめと脚の形から陸上を歩行していたことが、大きな尾ひれと水かきから泳ぎが得意だったことが推測される
■発見場所から、初期のクジラが西向きの表層流に乗って南大西洋を横断したことが示唆される

クジラが打ち上げられるのは

約4,260万年に存在したと推定される、クジラの化石に関する論文が発表されました。なんとこのクジラ、4本足を持つそうなんです。イメージ図に描かれたその姿は、まるで子どもの頃に読んだ冒険物語に登場する不思議な巨大生物のようです。

ベルギー王立自然史博物館のオリヴィエ・ランベール氏らが記した論文は、雑誌「Current Biology」に掲載されています。

An Amphibious Whale from the Middle Eocene of Peru Reveals Early South Pacific Dispersal of Quadrupedal Cetaceans
https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(19)30220-9

2011年、ペルー・フランス・イタリア・オランダ・ベルギーの国際チームがペルー沿岸の海泥を発掘していたところ、今回の化石を発見。

その化石から推測される体長は4メートルほどで、ひづめのついた足と脚の形から、陸上を歩行していたことが推測されます。また、大きな尾ひれとカワウソに似た水かき付きの足は、このクジラが優秀な泳ぎ手だったことを示唆しているとのこと。私たちのクジラのイメージとはかけ離れていますね。

遠泳の達人 でも繁殖時は陸上を歩行

クジラは、半水生の生活様式を進化させてきた生物の代表です。長い進化の歴史の中で、小さな哺乳動物から、現在の雄大な姿へと転身を遂げるまでには、大洋征服のドラマが展開されてきました。

もっと古い時代に存在した、4本足を持つより小型のクジラはこれまでにも見つかっています。ですが、クジラが世界中の海へ広まった時代の標本は少なく、今回見つかった化石はかなり貴重な手がかりになります。

Peregocetus pacificusの骨格 / Credit: Olivier Lambert他

化石からは、初期のクジラが数日〜数週間連続で泳ぎ続ける能力を持ちながら、同時に陸上を歩行する能力も兼ね備えていた可能性が推測されます。交配や出産といった特定の活動を行うために、ときどき陸へ戻る必要があったんですね。足先に小さなひづめを持つことから、陸を歩き回る能力はアザラシを凌いだようです。

また、鋭く尖った歯と長く伸びた鼻先は、初期のクジラが魚や甲殻類を食糧にしていたことを示しています。化石の尾の先にある椎骨のいくつかが無くなっているため、この化石の尾がフロックと呼ばれる巨大な尾びれの特性を持っていたかどうかは明確には分かりません。現代のクジラは、フロックがあるおかげで時速48キロの速度でその巨体を動かす推進力を得ています。

南大西洋を横断した「海の旅人」

さらに、発見場所も鍵でした。これ以前に、さらに古く約5,300万年前のクジラの祖先が見つかった場所は、インドとパキスタンでした。一体いつ、どのようにして、南アジア地域からアメリカ大陸、さらにはその先へと、クジラが分散していったかは、長年の謎でした。

始新世中期のクジラの分散 / Credit: Olivier Lambert他

今回、化石がペルーで発見されたことは、初期のクジラが西向きの表層流に乗って南大西洋を横断したことを示しています。当時、ユーラシア大陸とアメリカ大陸の距離は、今日の半分でした。化石には、「太平洋に到達した旅するクジラ」を意味するPeregocetus pacificusという名前がつけられました。「海の旅人」らしさにあふれるカッコよさですね。

完全に水生のクジラが誕生したのは、約4,100万年〜3,500万年前。6,600万年前に海洋爬虫類や恐竜が絶滅した後のことです。

 

太古の地球に存在した巨大哺乳動物たちが、どのような過程を経て陸から海へと生息圏を移行させていったのかについて、新しいヒントを与えるこの研究。生命進化の海風は、長い歴史の大海原を越え、ごうごうと吹き抜けてゆきます。

 

reference: theguardian / translated & text by まりえってぃ

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