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宇宙の錬金術! 金やプラチナなど重い元素が生まれた謎に迫る

2021.01.28 Thursday

2019.06.17 Monday

Credit:depositphotos

Point
■星内部の核融合で生成可能な元素は鉄までであり、鉄より重い元素を作ることはできない

■鉄より重い元素、金、プラチナ、ウラン、プルトニウムなどは、星の核融合とは別の原因で生まれている

■これまで重元素の生成は2つ中性子星の合体で起きると考えられていたが、新たに発表されたシミュレーション結果では、特殊な条件の星崩壊時でも同じ現象が起きる可能性が示されている

宇宙に存在する元素は、【水素:ヘリウム:その他の元素】の比率が【1000:1:1】になると言われている。

そう、我々の生きる宇宙はほとんどが水素とヘリウムで満たされていて、それ以外の重い元素はほとんど存在していないのだ。

これはビッグバンで生まれた素粒子から自然に作られたのが、極めて軽い元素だけだったためだ。それ以外の重い元素は星の核融合で後から作られたのだ。

しかし、恒星の中で起こる核融合では、鉄より重い元素を作り出すことができない。金やプラチナなど重い元素は、また別の方法によって生まれている。

大昔から人類が夢見てきた金を錬成する宇宙の秘密だが、今回新たに発表された研究では、その方法がシミュレーションによって明らかにされている。

それによると、金を始めとした重元素は、特定の条件下の星崩壊(コラプサー)で生じる降着円盤というガスの渦で生まれる可能性が高いという。

この研究は、コロンビア大学の研究者より発表され、Natureに掲載されている。

Collapsars as a major source of r-process elements
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1136-0

もっとも安定した元素 鉄(Fe)

Iron electrolytic and 1cm3 cube

莫大なエネルギーを生み出す反応について、多くの人が核融合反応と核分裂反応を耳にしているだろう。

核融合とは、水素を始めとした軽い元素が融合して重い元素を作る際にエネルギーを生み出す現象だ。逆に核分裂反応とは、ウランのような重い不安定な元素が崩壊してより軽い元素へ変わる際にエネルギーを生み出す現象を指す。

これを聞いて、「あれ? 融合しても崩壊してもエネルギーが生まれるのはおかしくない?」と思ったことはないだろうか。実はこの2つの反応は、同時に停止する分岐点がある。それが鉄だ。

鉄はこの世でもっとも安定した元素で、核分裂反応も核融合反応も鉄を作り出したところで停止してしまうのだ。これ以降はどちらの反応も逆にエネルギーを消費してしまうので継続できなくなってしまう。

星は核融合のエネルギーで輝いている。核融合で鉄以上の元素が作れないとなると、これより重い元素の生成にはもっと別の方法に頼ることになる。

それが中性子を大量に取り込む「r過程」という現象だ。

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