人間は本来幸せを感じることはできない

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『幸せになるために』、『ポジティブ思考のコツ』…などなど、書店には幸福に関連する書籍が所狭しと並べられています。こうした「幸福産業」が発展してきた背景には、「人は幸せになるために生きている」という思い込みが存在します。

物質的・生物学的な欲求がすべて満たされたとしても、いつも幸福でいることは容易なことではありません。すべてを手に入れたかに見える成功者でも、本当に幸せを感じるられる時は限られています。

それもそのはずで、実は幸福は人が作り出した概念に過ぎず、生物学的根拠が存在しないのです。

自然と進化

人間は、幸せになるようにできているわけでもなければ、まして満足するためにできているわけでもありません。その代りに、自然界に存在する他の生物と同じように、生きて子孫を残すためにこの世に存在しています。

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物事に満足することは、生存への脅威に対する防衛体制を弱めることにつながります。このため進化は、実行や分析を司る前頭葉の発達を、幸せでいようとする能力よりも優先してきました

脳のさまざまな領域や回路は特定の神経学的・知的機能に結びついていますが、神経学的根拠を持たない概念である幸福は脳組織のどこにも組み込まれていません。

事実、進化の過程の中で自然が憂鬱を除去することができなかったのは、順応としての憂鬱が逆境に直面している時は必要な役割を果たすからだと、科学者たちは考えてきました。憂鬱は、危険で絶望的な状況から遠ざかるよう促すことこそが、憂鬱の役割なのです。

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