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すべてが科学者の想定外! 解析に3年を要した観測史上最大の超新星爆発

2024.06.26 Wednesday

2019.08.20 Tuesday

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『SN 2016iet』の対不安定型超新星の想像図/Credit: Gemini Observatory/NSF/AURA/ illustration by Joy Pollard

Point

■2016年に観測された規格外に巨大な超新星爆発の解析が3年越しで完了した

■この超新星爆発は太陽質量の200倍もある超大質量星によるものと考えられ、ブラックホールを残すこともなく星全体が消し飛んでしまっている

■これは宇宙初期に存在した種族Ⅱの巨大恒星にのみ発生していた「対不安定型超新星」と考えられ、宇宙の成り立ちを知るための重要な観測例となる

2016年11月に、これまでの観測史上で最大となる超新星が観測されました

3年も前の観測がなぜ今話題なの? と思う人もいるかもしれませんが、この超新星『SN2016iet』の観測データがあまりに常識はずれであったため、データの誤りではないかとずっと解析中になっていたためです。

しかし3年を掛けた追跡観測の結果、『SN2016iet』は桁違いに巨大な超新星爆発であったことが明らかになったのです。

それは実に太陽質量の200倍という巨大な恒星の超新星であり、そのあまりに巨大過ぎるそのエネルギー放出によって、星はブラックホールや中性子星を残すこともなく消し飛んでしまったというのです。

この研究は、ハーバード大学の研究者を初めとした研究チームより発表され、『アストロフィジカルジャーナル』に8月15日付けで掲載されています。

SN 2016iet: The Pulsational or Pair Instability Explosion of a Low-metallicity Massive CO Core Embedded in a Dense Hydrogen-poor Circumstellar Medium
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ab2f92

桁違いの極超新星

新星というのは明るく輝く生まれたての星のことですが、超新星は星の死に伴う爆発の輝きを指します。

この一見紛らわしい呼び名は、初めて観測した人たちが、超新星が何であるのかわからず、新星より明るい天体として名付けたためです。

恒星は巨大な自重による収縮を、核融合のエネルギーによって支えています。重い恒星が核融合の燃料を使い切ってしまうと、自重を支えきれずに重力崩壊を起こして爆発します。これが、一般的な超新星爆発です。

しかし、今回観測された『SN2016iet』はこれまで観測されたものとは桁違いのエネルギーを放つ奇妙な超新星でした。

それは発見した科学者が、データを疑いすぐには受け入れられないほどのものだったのです。

なぜ『SN2016iet』は、それほどの巨大で奇妙な超新星となったのでしょう?

それは、この星が桁違いに大きかったということと、金属が極端に欠乏した星だったことが鍵になっています。

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