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数千年前に発明された農業技術が熱帯雨林を救う鍵になる (2/2)

2021.01.27 Wednesday

2019.09.02 Monday

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バイオ炭と肥料を組み合わせて効果増大

研究チームは、ペルーにある巨大農産物加工業者で廃棄されたブラジルナッツの殻を元に、バイオ炭を製造しました。「55ガロン(約204リットル)入りの樽の中で殻を燃やす」という手法は、原始的ながらローコストで、規模の拡大も容易にできます。

バイオ炭は、アマゾンの原住民が数千年前から「黒い土」として用いていたことが知られている古い技術で、さまざまなメリットを備えています。

たとえば、バイオ炭は、土壌が水分を抱え込む能力を向上させることで、土壌の酸性化を防ぎます。また、植物の成長を助ける役割を持つ微生物にとって、最適な住環境を提供します。

さらには、バイオ炭は、肥料を捕えることで、時間を掛けて徐々に肥料を土の中に放出する機能も持っています。このため、肥料を与える頻度が減るので、労働力や経費を削減することができるのです。

また、研究チームは、地元の共同体「サンジャシント」で採集した土を使用しました。この地域の土壌は、金鉱採掘によって荒れ果て、採掘用の排水路から出る土には、植物の生命には欠かすことのできない有機物や微生物が不足した状態になっています。

マイルス・シルマン氏 / Credit: Wake Forest University

「バイオ炭と肥料はそれぞれ、苗木の成長の改善に役立ちます。ですが、両者を組み合わせることで、どちらか一方を使用した時よりもさらに高い効果が得られることが明らかになりました」と、シルマン氏は説明しています。

「(森林の)自然な再生を望むには、これらの土地の土壌には限りがありますが、バイオ炭を加えることで、土壌を植物が育ちやすい状態に変えることができます」

豊かな土壌は、樹木の成長だけでなく、森林を住処や食料源にする動物や、さらにはその資源を元に暮らしを営む人間にとっても、必要不可欠なものです。古くからの「知恵袋」であるバイオ炭の実用化に期待が膨らみます。

【2019.09.03】
記事中に一部誤りがあったため、修正して再送いたしました。

欧州の風力発電だけで「世界中のエネルギー」を供給できるかもしれない

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