「なぜ今まで無かったの?」視覚障害者が開発に携わった「スマート杖」が革命的

science_technology 2019/09/09
Credit: Adapt

Point

■視覚障害者を含むトルコの研究チームが、視覚障害者の移動をサポートする「スマート杖」を開発

■杖のタッチパッドを使ってスマホ操作ができるだけでなく、マップ機能が周辺情報を音声で伝達する

■将来的には、相乗りアプリや交通サービスと連動させることも検討中

街の中を一切迷わずに歩くことは、健常者でさえ簡単ではないでしょう。視覚障害者にしてみれば、街はいわば障害物コースや迷路に他なりません。

2017年に英国で実施された調査では、移動に困難を抱える成人は、そうでない成人と比べて移動が39%も少ないことが示されています。

そんな中、視覚障害者がこの世界を移動する方法に革命を起こす可能性を秘めた「スマート杖」を生み出しました。開発に携わったのは、トルコのYoung Guru Academyの開発チームです。

マップと連動して内蔵スピーカーで周辺情報を伝達

WeWALKスマート杖は通常の白杖と同じように、胸元までの高さにある障害物の存在を利用者に知らせるだけでなく、超音波センサーを使って近くの障害物を察知し、ハンドルの振動でそれを伝えます。

Credit: WeWALK

また、Bluetoothを通じて専用のスマートフォンアプリと連動させることで、杖のタッチパッドを使ってスマートフォンをポケットから取り出すことなく操作することができます。杖を持っていない方の手が空くため、他の作業をすることができます。

さらには、音声アシスタントとグーグルマップのソフトを統合することで、近隣の商業施設や交通機関の詳細を目で見ることのできない利用者に、内蔵スピーカーで伝えることもできます

まさに革命的な技術。現在のGoogleマップの使用率を考えると、なぜ今まで無かったのか不思議なくらいです。

最新技術を視覚障害者のQOL向上に活用

WeWalkのCEO兼共同創立者であるクルシャト・チェイラン氏は、自身も視力を持ちません。チェイラン氏は、現代のテクノロジーを視覚障害者のためのツールとして利用したいと強く考えており、スマート杖の開発に貢献しました。

「世間が空飛ぶ車の話でもちきりになっている一方で、視覚障害者はただの簡素な杖を使い続けています」と語るチェイラン氏。「もっと便利に・快適に」という視点も大切ですが、本当に困っている人たちの生活の質や安全性を本質的に向上させることにもより多くのエネルギーが注がれるべきです。

WeWALKを使うことで、視覚障害者は、地下鉄の出口がどこにあるのかも、乗車すべきバスが近づいていることも、周りにどんな店があるのかも、知ることができるようになるでしょう。

WeWALKを片手に通りを歩く男性 / Credit: WeWALK

WeWALKは、現在500ドル(約5万3千円)で販売されています。開発チームは、ゆくゆくはこの杖をウーバーなどの相乗りアプリや交通サービスと連動させることで、機能性のさらなる向上を目指したいと考えています。

まさに「魔法の杖」ですね。視覚障害者の生活は、今後ガラリと変わりそうです。

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reference: adaptnetwork / written by まりえってぃ

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