放射線治療中に患者が目撃する“謎の光”の正体が判明

science_technology 2020/01/09
Credit:LESLEY JARVIS, MD, PHD
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  • 放射線治療中に目の前に見える光は「チェレンコフ光」であることが判明
  • 眼球内にチェレンコフ光が確認されたのは初の事例で、このデータは今後の放射線治療の技術改善に役立つ

これまで、放射線治療を受けた患者から「目の前に光が見える」という証言が相次いで報告されていました。その光は目を閉じている時でさえ生じており、長年正体が判然としないままでした。

しかし今回、アメリカ・ダートマス大学の研究により、高感度カメラを用いて目から放たれる光の撮影に成功。詳しい分析の結果、光は「チェレンコフ放射」によるものと判明しました。

目から放たれるチェレンコフ光が撮影されたのは初の事例とのことです。

研究の詳細は、2019年10月に「International Journal of Radiation Oncology」で掲載されました。

Experimentally Observed Cherenkov Light Generation in the Eye During Radiation Therapy
https://www.redjournal.org/article/S0360-3016(19)33947-1/fulltext

目からチェレンコフ光?

研究チームは特殊なカメラ・イメージングシステム「CDose」を使って、放射線治療を受けている被験者の目を撮影しました。

CDoseは、動物と人間の両方で放射線治療中の発光を捉えるよう特別に設計されており、通常は検出が難しい眼からの光を特定できます。

チェレンコフ光とは、例えば水中にある核リアクターが放つ青い光などを指します。

核リアクターから生じる「チェレンコフ光」/Credit:ja.wikipedia

光は、水中や眼球のガラス体を通過する時進むスピードが遅くなります。そこで、荷電粒子がこの光の速度を超えて水中やガラス体を通過する時、粒子の周りの電磁場が置き去りにされ、それらの波面が重なり合って衝撃波が起きます。

この衝撃波面から放出される光が、チェレンコフ光(放射)です。

Credit: ritsumei.ac.jp

研究員のアーウィン・テンドラー氏は実験結果について、「撮影中のリアルタイムデータによって、発生したチェレンコフ光の量が視覚を誘発するのに十分であることを正確に示された」と説明します。

さらに、スペクトル分析の結果、この光がチェレンコフ光に分類されることも証明されました。

テンドラー氏は「このデータは、将来の放射線治療技術を改善する助けとなる」と指摘します。チェレンコフ放射の検出は今後、治療が意図した目標に到達しているかどうかを知るマーカーとして用いることもできるでしょう。

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reference: sciencealerteurekalert / written by くらのすけ

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