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再生医療に光!心臓すら再生できるウーパールーパーの「再生遺伝子」を2つ特定

2021.01.27 Wednesday

2020.01.30 Thursday

ウーパールーパーの再生能力は脊椎動物のなかでも最強/Credit:depositphotos
point
  • ウーパールーパー(メキシコサンショウウオ)は脊椎動物のなかで最強の再生能力をもっている
  • この再生能力にかかわる遺伝子を2つ特定

脳梗塞は治る病気になるかもしれない。死滅した脳細胞が再生、運動機能の再生などにも期待高まる

これまでの研究から、メキシコサンショウウオ、通称ウーパールーパーには優れた再生能力があることが知られており、手足の全部、または心臓や脳の一部を失っても完全に再生することができます。

その再生能力は、研究者も「殺されない限り、ほとんどすべての傷を再生する能力がある」と称賛するほどです。

もしこの再生能力の秘密を見つけることができれば、人間の損傷した組織を修復する方法を見つけることができる可能性もあります。

しかしウーパールーパーの研究は、ヒトの10倍(320億塩基対)に及ぶ多すぎる遺伝子のせいで、遅々として進みませんでした。

ですが今回、複雑なゲノムを回避して、新たに再生にかかわる遺伝子を発見することができました

研究結果は、イェール大学のルーカス・D・サノール氏らによって1月28日に学術雑誌「eLife」で報告されました。

Multiplex CRISPR/Cas screen in regenerating haploid limbs of chimeric Axolotls
https://elifesciences.org/articles/48511

ウーパールーパーの再生力

ウーパールーパーの顔の左右に生えているのは、むき出しになったエラ器官/Credit:depositphotos

両生類は子供のときはオタマジャクシのようにエラ呼吸を行い、大人になると肺呼吸に切り替わります。

しかしウーパールーパーは同じ両生類にもかかわらず、大人になってもエラ呼吸のまま。このように大人になっても幼体の性質が残る現象のことを、幼形成熟(ネオテニー)と呼びます。

ちなみに頭の付け根付近にあるフサフサした構造物は、外部に露出したエラです。

また、特筆すべきはその再生力。傷跡を残すことなく手足、尾、エラを再生できるほか、心臓や脳の一部を切り取っても再生できることが知られています

この再生プロセスは、遺伝子によって厳密にコントロールされており、これを詳しく調べることで人間の再生医療にも転用できると期待されています。

次ページゲノム編集技術「CRISPR-Cas9」を応用する

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