一滴の水から140V以上の電圧を発生させるデバイスが開発される

technology 2020/02/08
Credit:depositphotos
point
  • 液滴の落下による運動エネルギーを用いた発電デバイスが開発された
  • 電界効果トランジスタの構造を利用することで、蓄電して放出することで高効率の発電が可能
  • 固体と液体の接触帯電を利用しており、将来的には船体、傘の表面で十分な発電が可能になる

地球温暖化とエネルギー問題に悩む現代では、効率よく持続性のある「次世代の再生可能エネルギー」が求められています。

表面の約70%を水に覆われた地球では、この問題について水を有効活用することが重要です。

今回の研究チームは、以前に水滴が固体にぶつかった際の接触帯電を利用した、液滴ベースの発電機を開発しています。しかし、これは非常に発電効率の低いものでした。

チームはこれを2年掛けて非常に高効率の発電システムへ改良したと報告しています。

水滴の落下や接触で、高電圧が取り出せるとなると、それは傘や雨合羽の表面からも発電ができる便利デバイスが作れるようになるかもしれません。

この研究は香港城市大学 機械工学科のWang Zuankai教授らによってまとめられ、権威ある学術雑誌『Nature』に2月5日付けで掲載されています。

A droplet-based electricity generator with high instantaneous power density
https://www.nature.com/articles/s41586-020-1985-6

水滴を使った発電システム

図aは、液滴ベースの発電機(DEG)の概略図。図bは、ガラス基板上に作製された4つの並列DEGデバイス。/Credit:City University of Hong Kong / Nature

水滴から電力を生むというシステムは、異なる物質が接触した際の電荷の移動を利用しています

しかし、これは瞬間的な電力密度が非常に低く、取り出せる電力は僅かなものでした。

そこで研究者は、エネルギーの変換効率の改善を行い、電界効果トランジスター似た構造の設計を行いました。

電界効果トランジスターとは、簡単に言うと電力で回路に流れる電力量を制御する電子回路です。

今回のデバイスでは、アルミニウム電極と電気特性に優れたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を蒸着させた酸化インビジウムスズ(ITO)電極で構成されています。

専門的な材料名が多いですが、原理は簡単で、PTFE / ITO電極に水滴が接触すると電荷が生成されます

ただ、ここで生成された電力は僅かなものです。

今回のデバイスは、この時点では回路がどこにもつながっていません。そのため生成された電荷はPTFEの層に蓄積されていきます。

そして、落下した水滴が潰れて広がり、端にあるアルミニウム電極に触れたところで回路が繋がり、蓄積された電荷が一気に放出されるのです。

Credit:Synchronization of Droplet Spreading and Variation of Charge/CityU Research

一見単純な仕掛けですが、これによって従来の方法に比べ、1000倍高い電力を得ることができたのです。

これは落下する水の運動エネルギーを電力へ変換することに成功したものだと、研究者は説明しています。

研究では、15cmの高さから0.1ミリリットルの水滴を落とすことで、140Vを超える電圧を発生させることができ、100個の小さなLEDを点灯させることに成功しています。

Credit:A Drop of Water Can Light up 100 Small Led Bulbs/CityU Research

次世代の電力源

Credit:pixabay

現在世界では、温室効果ガスを排出しない持続可能性のある再生可能エネルギーを必要としています。

豊富に存在する水から、効率的にエネルギーを収穫する手段は、その解決策として強く期待されているものです。

液体が固体に接触することで、水中の運動エネルギーを利用するデザインは、様々な局面で適用できる可能性を秘めています。

今回のデバイスは将来的には、フェリーの船体表面や、海岸線、傘や雨合羽の表面、さらに水筒内の表面にまで適用可能だと考えられています。

山の上でも雨が降ればスマホが充電できたり、テントを張るだけで中で電気が使えるなんて日も近いのかもしれません。

食べ物の味が変わる手袋! 電気刺激で味覚を操作する新技術を取材

【編集注 2020.2.8 21:30】
記事タイトルに一部誤りがあったため、修正して再送しております。
reference: 香港城市大学 / written by KAIN

SHARE

TAG