ガラスは水に浸せばハサミで切れる!?自宅でも試せる「ケモメカニカル効果」とは?

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水に浸すとガラスはハサミで切れる?
水に浸すとガラスはハサミで切れる? / Credit: youtube

空気中でガラスにハサミを入れると、当然ながら大きな音を立ててパリンと割れてしまいます。

では水中ならどうでしょう。

実は水に浸した状態だと、ガラスを好きな形にハサミでカットすることができるのです。

ちなみにこの不思議な現象は、2017年に放送されたテレビアニメ『名探偵コナン』第862話にトリックとして使用されているとのこと。

一体なぜそんなことができるのでしょうか。

水に浸すだけでハサミで切れる

この仕組みは、アメリカのユーチューブチャンネル「The Action Lab」で詳しく解説されています。

まず、動画では正方形のガラス板を用意し、水中で見やすいよう赤色マーカーで色付けしています。

これをバケツに入れた水の中に浸すだけで、市販のハサミで好きな形にカットできるそうです。

試しに水中でガラスの角を切ってみる
試しに水中でガラスの角を切ってみる / Credit: youtube

試しに端の方を切り取ってみると、確かにガラスがザクザクと音を立てながら切られていきます。

ガラスは水中で綺麗に切り取れる
ガラスは水中で綺麗に切り取れる / Credit: youtube

空中でハサミを入れると、ガラスは不規則な断片にパリンと割れてしまいますが、水の中で切れば、このように綺麗な円形にカットできるのです。

ケモメカニカル効果でガラスを円形にもカットできる
ケモメカニカル効果でガラスを円形にもカットできる / Credit: youtube

これにはある化学的な理由が隠されていました。

ガラスが切れる「ケモメカニカル効果」とは

ガラスは、ケイ素と酸素が結びついてできる物質です。

(画像中の大きな青丸がケイ素赤丸が酸素小さな青円が水素です)

ガラスは「酸素」と「ケイ素」が結合した分子
ガラスは「酸素」と「ケイ素」が結合した分子 / Credit: youtube

水中でガラスをカットするとき、水素2つと酸素1つでできた水分子がガラスの構成分子と反応します。

ガラス分子に水分子が入るとどうなるか
ガラス分子に水分子が入るとどうなるか / Credit: youtube

ハサミで入れた割れ目に水分子がすばやく入り込み、酸素とケイ素の結びつきを断ち切ってしまうのです。

水分子中の酸素と水素がガラスの分子に結びつく
水分子中の酸素と水素がガラスの分子に結びつく / Credit: youtube

水分子の酸素がケイ素に、水素がガラス側の酸素に結びついて、ガラスの結合を解いていきます。

ハサミを進めるにつれて広がる割れ目に、水分子が次々と割り込んでいき、分子結合を切ってしまうのです。

これを「ケモメカニカル効果」と呼びます。

水は酸素とケイ素の結合を断ち切る効果がある
水は酸素とケイ素の結合を断ち切る効果がある / Credit: youtube

さらに、ケイ素と酸素の間に割って入った水分子は、ハサミがガラスを切るのに必要なエネルギーを小さくします。

つまり水中では、水がガラスを割れないよう保護しているのではなく、空気中よりも細かく簡単に割れやすくしているのです。

水中ではガラスが細かく割れるスピードが速くなっていた
水中ではガラスが細かく割れるスピードが速くなっていた / Credit: youtube

微小な水分子が割れ目に瞬時に入り込んで、分子の結合を断ち切ることで、ガラスが砂のように削り落とされていきます。

そのおかげで、水中ではガラスを好きな形にカットできるのです。

少しずつ切れていくので、好きな形にカットできる
少しずつ切れていくので、好きな形にカットできる / Credit: youtube

実はアメリカ先住民たちは、数百年前からこの事実を知っていて、ガラス質の矢先を鋭くするために一度水に濡らしてから削っていたとのこと。

この実験は自宅でも簡単にできるようですが、お試しの場合は厚手の手袋を忘れないようにしましょう。

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