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実は「指には筋肉がない」ってホント? 

2021.01.27 Wednesday

2020.03.21 Saturday

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指の先にはほとんど筋肉がなく、手首と手の平から伸びる腱によって動かされている/Credit:Rauber-Kopsch(解剖学)
point
  • 指には筋肉がほとんどない
  • 進化的にみても、初めて生物が指を持った頃から指に筋肉はなかった
  • 指に筋肉がないのは、指を細く保つためだった

ピアニストやロッククライマーにはよく知られている事実ですが、実は指は、指の筋肉で動いているのではありません。

指を動かす力のほとんどは、手の平と手首付近の筋肉によって作られているのです。

確認するには簡単な実験をするだけです。

片方の腕をリラックスさせダラリと下に伸ばした状態で、反対の手で手首を握る…と、指が曲がりませんか?

これは、指の動きを制御する筋肉と腱が手首にあることを意味する、証拠の一つです。

またピアノやバイオリン、文章のタイピングなど指を使い過ぎた時に起こる腱鞘炎も、酷使された「指そのもの」に現れることは珍しく、手首以降の腕に現れます。

しかし、どうして指には筋肉がないのでしょうか?

指は太いより細いほうが役に立つから

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指を酷使するピアニストでも指が肥大化しないのは、指に筋肉がないから/Credit:depositphotos

現在、理由として考えられている仮説は「指は細いほうが役に立つから」です。

指は人体の中で最も使われる部位の一つであり、指に筋肉があると、ちょっとした酷使でアッという間に肥大化してしまいます。

そうなると、細かい作業が行えなくなってしまいます。

人間のように指で複雑な動作を行える動物は、指そのものを太くして強化するより、細い指でできる繊細で細かい動きのほうに、価値があったのです。

次ページ進化的にも、最初から指に筋肉はなかった

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