何年もの間、天文学者たちは肉眼で観測できる「彗星」の接近を待っていました。
2019年12月28日に発見されたアトラス彗星(C/2019 Y4)は、最近の観測により、ますます明るくなっていることが判明しています。
過度な期待はできませんが、もしかすると、アトラス彗星を地球から肉眼で観測できる日が近づいているかもしれません。
米国ニューヨークのヘイデンプラネタリウムのインストラクターである気象学者ジョー・ラオ氏は、アトラス彗星に関する報告を「livescience」誌でまとめています。
https://www.livescience.com/comet-atlas-may-be-brightenting.html
彗星の成り立ちと観測条件
彗星は、塵を含んだ氷の塊からなる「核」で成り立っています。
それらの「核」は一定の軌道にそって宇宙を移動しており、太陽に近づくにつれて明るさを増し、私たちに「彗星」として認識されるようになります。
核は氷と塵の塊なので、太陽に近づくと太陽から放射される熱によってその表面が蒸発し始めます。これにより発生したガスや塵が核の周りを球状に覆うようになります。
さらに、太陽からの放射圧と太陽風によって、太陽の反対側へと「尾」が形成されるようになります。この状態が私たちがよく知る「彗星」です。
「彗星」は見た目こそ「流星」と似ていますが、「流星」と違って地球の大気によって一瞬で燃え尽きるものではありません。
もっと遠くに存在するものであり、観測可能になれば、地球上からは尾を引いたまま空に留まっているように見えます。この光景は滅多に見ることができません。
神秘的な彗星を肉眼で見るためには、いくつかの条件が重なる必要があります。
彗星の核が大きく、太陽との距離が近く、地球との距離も近くなければいけないのです。
現在観測されているアトラス彗星は、これらの条件を満たす「かもしれない」ため、天文学者たちはこの彗星の動向に期待の目を向けています。
もしこの期待が叶うなら、1997年のヘールボップ彗星以来の肉眼観測になるでしょう。