メダカはお腹が空くと性転換することがあると判明

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credit: pixabay
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  • メダカは稚魚のときにお腹が空くと、メスになる遺伝子を持っていても20%の割合でオスに成長する
  • 栄養状態が性を決める仕組みであることを初めて明らかにした

性は遺伝子によって決定し、不変なものであると皆さんは思っているかもしれません。しかし、実は生物の世界では生まれたあとの環境によって、性別を変える生物がいるのです。

名古屋大学大学院理学研究科の田中実氏らの実験により、メスの遺伝子をもったメダカの稚魚を飢餓状態にすると、20%の割合でオスに成長することが分かりました。

温度や酸素濃度が性を決める要素になることが以前から知られていまいたが、栄養状態が性決定の要素になることは初めて示されました

なぜ空腹になるとメダカの性が変わってしまうのでしょうか?

研究の詳細は4月3日付けで英国電子科学雑誌「Biology Open」に掲載されました。

Starvation causes female-to-male sex reversal through lipid metabolism in the teleost fish, medaka (Olyzias latipes)
https://datadryad.org/stash/dataset/doi:10.5061/dryad.9zw3r22b5

生まれた環境で性別が決まる!? 性を決める要素は遺伝子だけじゃない

ヒトなどの哺乳類の性別は、誕生後の性別は変わらないと考えられています。

受精卵中の性染色体の組み合わせがXYならオス、XXならメス。これが哺乳類の性を決める遺伝的要素です。

しかし、哺乳類以外の生物では生まれた土地の環境的要素によって、遺伝的要素を無視した性に成長する生物がいるのです。

例えば、ワニやカメなどの爬虫類は孵卵期間中の温度によって性が決まります。

魚類であるメダカも遺伝子を無視して性を変える生物です。今回の実験によって今まで知られていなかった要素が、性の決定にかかわっていることが明らかにされました。

5日間絶食するとメダカが性転換した

credit: 山形大学 Press Release

研究グループはY染色体を持たない、遺伝的にはメスになるメダカの稚魚を5日間飢餓状態にしました。するとなぜか本来メスになるはずの稚魚のうち、20%がオスへと成長したのです。(図1)

この原因を突き止めるため、研究グループはさらに研究を重ねました。具体的にはオスに性転換した稚魚の体内にあった、代謝物の量を一つずつ調べ上げました。代謝物とは生物が生きていくために、合成したり分解したりする物質のことです(アミノ酸、エネルギー、DNAなど)。

その結果、脂肪の合成にかかわる代謝物の量が普通の稚魚より少なかったのです。

そこで遺伝子操作により脂肪の合成を阻害したメスの稚魚を作り、育ててみました。すると絶食した稚魚と同じように性転換したのです。

以上の結果から、飢餓状態や脂肪の量がメダカの性を決める環境的要素であると明らかにされました。

ただ、なぜ脂肪の量が減るとオスに性転換するのかは明らかにされていません。

今回の発見により、生物の性を決定づける仕組みの理解がより深まることが期待されています。

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reference: 山形大学 / written by shuni
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