京の後継スパコン「富岳」がウイルス対策のため1年前倒しで運用決定

technology 2020/04/10
credit: 理化学研究所
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  • 新型コロナウイルス対策にスーパーコンピューター「富岳」が投入される
  • 「富岳」の任務は新型コロナウィルスの治療薬を開発すること

4月7日、理化学研究所計算科学研究センターは、新型コロナウィルス対策を目的に、次世代スーパーコンピュータ「富岳」の運用を開始すると発表しました。

富岳は、昨年解体されたスパコン「京」の100倍の能力を持つ次世代スーパーコンピュータです。2021年の運用開始を予定していましたが、新型コロナウィルスに立ち向かうべく、1年前倒しで運用が始められました。

富岳の機能は新型コロナウイルスの治療薬の開発に活かされるとのこと。

では、富岳が優れているのはどのような点なのでしょうか?

新型コロナウイルス対策を目的としたスーパーコンピュータ「富岳」の優先的な試行的利用について
https://www.riken.jp/pr/news/2020/20200407_1/

次世代コンピュータ「富岳」って何がすごいの?

富岳は京の後継機として、世界トップ性能の計算機を作ることを目的に、2014年から開発を開始されたスーパーコンピュータです。

開発の末、2019年11月、スーパーコンピュータの省エネ性能を評価する「Green500」で、富岳の試作機が見事1位を獲得しました。

その性能は従来の京の計算能力の100倍。その力を引き出すために開発者は、富岳専用に以下9つのアプリケーションを設計しました。

GENESIS: タンパク質の動きを計算
Genomon: ゲノム解析
GAMERA:地殻・都市の地震を計算
NICAM+LETKF: 観測データを融合した地球大気のシミュレーション
NTChem: 分子の構造を解明
ADVENTURE: 大規模システムのシミュレーション
RSDFT: 物質の特性を解明
FrontFlow/blue: 乱れのある流れや音響を計算
LQCD: 素粒子の振る舞いを計算

このアプリケーションのうち、実際に運用されるのは、分子動力学ソフトウェア「GENESIS」。新型コロナウイルスの治療薬の開発に活かされます。

分子動力学とは、細胞などのミクロな世界で起きる分子の挙動を、パソコンの計算機能を使って予想する分野です。

例えば、ウイルスAのタンパク質の分子と、医薬品Bの分子をコンピュータ上の仮想空間に配置すると、一定時間後には、それらの分子がどのように動き、Aのタンパク質のどこにBの分子が反応するのか分かります。

では「GENESIS」を利用した治療薬開発とはどのような研究なのでしょうか?

ローラー作戦! 分子動力学ソフトウェア「GENESIS」を使って2000種類の医薬品から治療薬を見つける

credit: 理化学研究所

現在、世界中の既存の医薬品のうちコロナに効果があるものを調べる臨床試験が行われています。しかし試験数が少ないため、まだはっきり効果が認められる医薬品は見つかっていません。

そこで理化学研究所の奥野恭史氏は、富岳の「GENESIS」を使って、既存の2000種類の医薬品の分子の中から、新型コロナウィルスのタンパク質に高い効果を示す分子を探します。

人の手で臨床試験を繰り返すよりも、世界トップの性能を持つ「GENESIS」を用いたほうが、時間をかけずに多くの種類の医薬品を調べられるというわけです。

さらに「GENESIS」では、仮想空間に複数の医薬品に含まれる分子を配置することで、新型コロナウィルスへの作用を検証できます。そのため医薬品を混ぜて使うことによるコンビネーション効果の推定も期待されています。

「GENESIS」で得られた結果と、臨床試験が済んだ医薬品とのデータを組み合わせることにより、既存の医薬品に頼らない新規の治療薬を作成できるのです。

日本が最終兵器・富岳の投入を早めたことで、新型コロナウィルスの寿命も早まるかもしれません。

【編集注 2020.05.02 14:00】
記事内容に一部誤りがあったため、修正して再送しております。

新型コロナ解析のための「PC大集結プロジェクト」、ついに1秒間に100京回の演算速度に達する

reference: 理化学研究所 / written by shuni
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