観測史上「最高度の明るさ」を放つ超新星爆発を確認!仮説上の星の実例か

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イメージ図/ Credit: Aaron Geller (Northwestern University)
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  • 地球から約36億光年の場所で、観測史上、最高度の明るさを持つ超新星爆発が確認される
  • 明るすぎて、詳細な観測をするまでに、2年以上、光度が落ちるのを待たなければならなかった

バーミンガム大学(英)は、13日、「観測史上、最高度の明るさを放つ超新星爆発を確認した」と発表しました。

この超新星「SN2016aps」は、地球から約36億光年先にあります。2016年にハワイのパンスターズ(Pan-STARRS)によって発見されました。

通常の超新星は、爆発後に星の残骸やブラックホールなどが確認できるのですが、今回は、爆発の光があまりに強すぎるため、数年間の追跡観察が必要でした。

結局、最終的に明るさがピーク時の1%以下に薄れるまで待ったようです。

研究主任のマット・ニコル博士は「この超新星爆発は、理論上の仮説である『脈動対不安定性型超新星(pulsational pair-instability supernova)』の実例かもしれない」と話しています。

本研究には、ハーバード大学、ノースウェスタン大学、オハイオ大学も参加しており、4月13日付けで「Nature Astronomy」に掲載されました。

An extremely energetic supernova from a very massive star in a dense medium
https://www.nature.com/articles/s41550-020-1066-7

「対不安定型超新星」とは?

まず一般的な超新星爆発は、太陽質量の8〜15倍の星で起こります。

星の表面では、内部に向かって強い重力が働いている一方、中心部の核融合で生じるエネルギーが逆に表面方向へ向かうことで、バランスを取っています。

しかし、核融合の材料がなくなると、表面へ向かうエネルギーもストップしてしまうので、自分の重力によって潰れ、爆発してしまいます

これが超新星爆発です。

爆発の後には、中心核の残骸である中性子星か、ブラックホールが残されます。

超新星爆発までの流れ/Credit: jaxa.jp

ところが、これよりもはるかに大きな星(太陽質量の100〜130倍)では、異なる反応が起きると考えられています。

これほどの巨星でも、自身の重力に対して、核融合によるエネルギーを生産することでバランスを取っているのは変わりません。

しかし核融合がストップすると、中心核の温度が急激に上昇し、高エネルギーのガンマ線が放たれます。これにより、光子が分解され、電子と陽電子がつくり出されます(対生成)。

核融合が止まると、電子と陽電子の対生成が起こる/Credit: ja.wikipedia

この動きが続くと、星の温度と圧力が不安定になり、強烈な爆発を起こします。

これが「対不安定型超新星(pair-instability supernova)」です。

対不安定型超新星では、爆発のエネルギーが強すぎて星の残骸すら残らないと言われていますが、これとは別に、星の一部だけが小規模な爆発を繰り返すパターンがあります。

これが「脈動性対不安定型超新星」です。

爆発を繰り返すために、観察する側からは光が増減して、脈動しているように見えるというわけです。

2つの巨星が合体した可能性も

イメージ図/Credit: cnn

そして、今回報告されたSN2016apsは、「理論的には脈動性の方の条件を満たしている」と言われます。

理由は、観測された爆発の光の内に、大量の水素が検知されたことです。

通常の対不安定型超新星の場合は、大爆発を起こすまでに水素を使い果たすと推測されています。これは、対不安定型超新星が一個の星から成っているためです。

しかし、脈動性のほうでは、単一の星とは別に、太陽の60倍ほどの質量を持つ2つの星が合体しているケースもあり得ると言います。

すると、必然的に水素の量は多くなるので、爆発の時点でもまだ十分に水素が残ります。そのため、観測した爆発の中に、水素が発見されてもおかしくはないのです。

ニコル博士は「合体した2つの星の内、質量の小さいほうが爆発まで水素を保持していたのではないか」と述べています。

脈動性対不安定型超新星は、仮説上の存在であり、実際の宇宙では断定できる例がありませんでした。今回のSN2016apsは、その記念すべき第一号となるかもしれません。

ブラックホールから脱出しようとした光は、まるでブーメランのように引き戻される

reference: phys.orgspacecnn / written by くらのすけ
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