NASA火星探査チームが「テレワーク」のために取った手段がスゴイ

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Credits: NASA/JPL-Caltech

現在、世界中でテレワークを余儀なくされる職場が増えていますが、それは宇宙を仕事相手にするNASAも同じです。

NASAは、先月からすべての従業員に、自宅作業に移行するよう指示しています。

しかし、火星探査機・キュリオシティなど、今まさに稼働中の探査機はどうなるのでしょう。

遠く離れた火星上のローバーを操作するには高度な機器が必要で、テレワークではとても対処しきれないように思われます。

ところが、NASAは、14日、「キュリオシティチームが、テレワークでの初ミッションを見事に成功させた」ことを公式サイト上で報告しました。

その裏には、任務遂行の苦難とスタッフの適応力があったようです。

チームがバラバラの危機に

キュリオシティチームは、通常、カリフォルニア州にあるNASA・ジェット推進研究所にて作業していますが、現在は全員がテレワークです。

キュリオシティの動作プログラミングには20名ほどのスタッフが関わっています。また、キュリオシティに送信するコマンド(動きの細かな指示データ)の計画と試験には、さらに数十名のスタッフと連携しなければなりません。

火星上のキュリオシティ/Credit: ja.wikipedia

チームを率いるアリシア・オールボー氏は「これまでは、スタッフ全員が同じ室内で作業をし、密接なコミュニケーションを取ります。しかし今は、スタッフが別々の場所にいるため、ビデオ会議やチャットアプリを頻繁に使って作業を進めました」と話します。

気がつくと、画面上に15個のチャットアプリを開いていることもあったそうです。

オールボー氏は「テレワークに移行してから、プランニングにかかる時間が以前より1〜2時間も増えた」と言います。

チームがバラバラになったことは大きなネックとなりました。

一部の機器が使えない状態に

タスクに必要な機器の多くは各スタッフの自宅に設置できましたが、一部の機器は本部に残したままにされました。

例えば、プランニングの際に必要な「高性能ゴーグル」です。

タスクの細かな計画は、火星から送られてきた3D画像をもとに立てられますが、そこで活躍するのが高性能ゴーグル。

これを使うことで、火星表面の地形や輪郭が立体的に観察可能になります。

その情報をもとにして、キュリオシティを向かわせる場所やルート、ターゲットとなる地表にどれだけアームを伸ばすかなど、細かな動きが決定されます。

しかし、ゴーグルの使用には、本部に設置された高度なコンピューター機器が必要であり、これは自宅に持ち込めません

キュリオシティが写したアイオリス山(2015年9月)/Credit: ja.wikipedia

そこでチームは、高性能ゴーグルの代わりとして、3Dメガネを代用しました。スタッフは「ゴーグルほどの没入感や快適さはないですが、キュリオシティの移動ルートやアームの動きを計画するには十分でした」と話しています。

こうした幾多の障害を乗り越え、ついに先月20日に、テレワークでのキュリオシティの初タスクが実施されました。この際の任務は、火星地表を掘削して、岩石サンプルを採取するというものです。

実際に実行されたのは22日で、チームは「キュリオシティに送信したコマンドが計画通りに機能した」ことを報告しています。

テレワークの解除にはまだ時間がかかりそうですが、チームは今後もこの状態で火星探査を進める予定です。がんばれNASA。がんばれキュリオシティ。

point
  • NASAのキュリオシティチームが、テレワークでの初タスクに成功
  • 直接のコミュニケーションが取れないことや一部の機器が使えないなど、困難な状況での成功となった

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reference: digitaltrendsnasa.gov / written by くらのすけ
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