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質量が異なるブラックホールの衝突が初めて確認される

2021.01.27 Wednesday

2020.04.22 Wednesday

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Credit: © N. Fischer, H. Pfeiffer, A. Buonanno (Max Planck Institute for Gravitational Physics), Simulating eXtreme Spacetimes project.
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  • 質量が3倍近く異なるブラックホール連星が衝突した重力波が観測された
  • 現在の連星ブラックホール形成モデルでは、等質量であることが前提
  • 質量差のある連星ブラックホールがなぜ誕生するのかは、現在謎

1916年、今から100年近くも前にアインシュタインは天体の衝突で時空の波紋、重力波が発生することを予想していました。

そして現代になって、そうした重力波を検出して宇宙を観測することが可能になりました。

LIGOとVirgoという2つの重力波検出器によって、2015年か2017年の間に10個の連星ブラックホールの衝突が観測されました。

そして2019年には更に観測精度の上がった重力は検出によって、まるで音楽の倍音のような異なる調和した周波数の重力波が検出されたのです。

これは、分析によると、太陽質量の8倍と30倍のブラックホールが衝突して発生した時空のさざ波なのだといいます

連星ブラックホールはいくつも見つかっていますが、それらはいずれも等質量のもので、連星ブラックホールの形成モデルについても、現在は等質量ブラックホールであることが前提になっています。

質量が大きく異る連星ブラックホールがなぜ生まれるのか、現在のところ明確なメカニズムはわかっていません

この発見は、連星ブラックホールが形成される原理の理解に重要なものになると、天文学者たちも興奮しているようです。

連星ブラックホールが奏でる時空のゆらぎ

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Credit: N. Fischer, H. Pfeiffer, A. Buonanno (Max Planck Institute for Gravitational Physics), Simulating eXtreme Spacetimes (SXS) Collaboration.

2つのブラックホールが、互いに周りあっているとき、そこには重力の波紋が生じます。

そして2つのブラックホールが衝突することで、大きなゆらぎは地球まではっきりと届き、何億光年も離れた場所で2つのブラックホールの合体があったことを私たちは知ることができるのです。

これまで、こうした連星ブラックホールは10以上発見されてきました。

しかし、今回観測された重力の波紋は、異なる2つの周波数が調和した不思議なものだったといいます。

それはちょうど音楽で言う倍音のような波でした。

倍音は音の周波数を整数倍にしたとき、音が調和する現象を指します。ラの倍音は1オクターブ上がったラで、3倍音は2オクターブ上のミの音になります。そしてこれらの音は綺麗に調和します。

連星ブラックホールが作る重力波の周波数は、軌道を周回する時間に応じて作られます。

通常の連星ブラックホールは等質量になるので、1つの周波数の重力波が響いてきます。しかし、質量差のあるブラックホールが互いを回り合っている場合、異なる周波数が同時に振動したような状態になるのです。

まるで和音のような状態です。

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中心で質量の異なるブラックホールが回り合っている。右下が中央の拡大。/Credit:Max-Planck-Institut für Gravitationsphysik (Albert-Einstein-Institut),GW190412: Binary Black Hole Merger

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