日本人が米を主食にしているのは古代文明を崩壊させた4200年前の寒冷化が原因と判明

history_archeology 2020/05/23
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point
  • 米の全ゲノム解析により、ジャポニカ米が4200年前の寒冷化で世界各地に広まったと判明
  • 一部の稲が寒冷化に適応することで温帯ジャポニカ米となり、北緯に広まっていった
  • 熱帯ジャポニカ米は人の移住と共に東南アジアへと拡散

現在、米は世界で最も重要な作物の1つであり、世界人口の半分以上の主食となっています。

しかし、これまで米の拡散について明確なルートは明らかになっていませんでした。

ところが最近、ニューヨーク大学のラファエル・グテイカー氏らの研究によって、稲作の歴史的な広がりと動きを再構築することができました。

その結果、稲作の広がりには4200年前の寒冷化が大きく関係していることが判明したのです。

米の多様性とジャポニカ米

稲の栽培種はアフリカイネとアジアイネに分かれます。そしてアジアイネの中にはインディカ米及びジャポニカ米が含まれます。

さらにジャポニカ米は、熱帯ジャポニカ米(ジャバニカ米)と温帯ジャポニカ米に分類されています。

様々な種類の稲/Credit:ricepedia

熱帯ジャポニカ米は陸稲とも呼ばれており、畑作向きです。対して温帯ジャポニカ米は水稲とも呼ばれており、水田栽培向きの品種となっています。

日本では温帯ジャポニカ米が主に栽培されていますね。

2つのジャポニカ米には形状だけでなくDNAの配列にも違いがあり、はっきりと区別できるようになっています。

このように、現在では多種多様な米が世界中で見られますが、その起源は9000年前にも遡ります。

最初は中国の長江渓谷で栽培されていましたが、その後中東、アフリカ、ヨーロッパ、南北アメリカに続いて、東、南東、南アジアへと広まっていったのです。

この過程で米は進化していき、様々な環境に適応したと考えられていますが、米の広がり関する詳細なルートやタイミング、その原因はほとんど知られていませんでした。

全ゲノム解析による稲作の解明

研究では、1400種類以上の稲の全ゲノムの配列を調べ、それらを地理学、考古学、歴史的気候データと組み合わせて比較しました。

研究者たちは当初、米の多様性を制限する環境要因は降雨だと考えていましたが、研究の結果により、実際には「温度」が重要な要因であることを発見。

この点を元に更に調査することで、稲作を広めた大きな原因が「気候変動」にあると判明したのです。

ジャポニカ米は寒冷化に適応し広まっていった

アジアでの稲作の歴史は、最初の4000年間では中国だけに限定されており、そこではジャポニカ米が栽培されていました。

その後、今から4200年前に世界的な寒冷化が起こりました。

この寒冷化は「4.2kイベント」とも呼ばれており、この影響によってメソポタミアから中国までの文明が崩壊したと考えられています。

そして、この急激な気候変動によって、ジャポニカ米は適応を余儀なくされたのです。

ジャポニカ米の分散/Credit:Rafal M. Gutaker

グテイカー氏は、「研究によって、温暖な地域で生育する温帯植物の台頭と同時に寒冷化があったと判明した」と述べています。

加えて「この寒冷化は、稲作や農民の東南アジアへの移動にも繋がった可能性がある」とも指摘。

つまり、4.2kイベントの後、熱帯ジャポニカ米は南下していき、ある稲は温帯品種(現在の温帯ジャポニカ米)として適応し北緯に広がったのです。

日本には温帯ジャポニカ米が普及していることから、この北緯ルートで伝わってきたものと考えられます。

また、南下した熱帯ジャポニカ米は多様化し続け、約2500年前には東南アジアの島々に到達したようです。これは、広範な貿易ネットワークと人々の移動によるものでしょう。

ところで、同じアジアイネであるインディカ米に関しては、その普及はより最近でありもっと複雑だったと判明しています。

インディカ米の分散/Credit:Rafal M. Gutaker

およそ4000年前にインドのガンジス川下流で発生しました。そして、その2000年後にインドから中国へと移動したようです。

このように、全ゲノム解析と歴史的データとの比較は稲作の拡散とそれに関連する環境への理解を与えるものとなりました。

この理解は、気候変動や干ばつなど将来の環境問題に対応した新品種の開発に役立つことでしょう。

研究の詳細は5月15日、「Nature Plants」に掲載されました。

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reference: phys / written by ナゾロジー編集部
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