「半透明」の皮膚を持つグラスフロッグが、完全に「透明」ではない理由が判明!

animals_plants 2020/05/27
credit: JurriaanH ,wiki

中南米の熱帯雨林に生息する「グラスフロッグ(アマガエルモドキ科)」は、特徴的な半透明の皮膚を持ちます。

特に下腹の透明度は高く、体内の器官や心臓の鼓動が目に見えるほどです。

しかし意外にも、グラスフロッグの透明性については、あまり研究が進んでいませんでした。「擬態のためだろう」と推測されていながら、その詳しいメカニズムまでは言及されてこなかったのです。

そこで今回、ブリストル大学(英)とマクマスター大学(カナダ)は、フィールドワークやコンピューターモデリングを用いて、グラスフロッグの擬態の秘密を明らかにしました。

その結果、「エッジ・ディフュージョン(輪郭拡散)」と呼ばれる、過去に前例のないカモフラージュをしていることが判明しています。

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完全な透明でなく「半透明」なのはなぜ?

グラスフロッグの皮膚は、まったくの透明(transparent)ではありません。上から見ると、緑の色素がしっかりと確認でき、正確には「半透明(translucent)」と定義されます。

透明度の高い方がカモフラージュには有利と思われますが、陸上では必ずしもそうではありません。

グラスフロッグ/Credit: en.wikipedia

透明度の高い生物は主に海に生息しますが、これは水中と同じ高い屈折率を共有するためです。

「真空中の光速をものの中(媒質中)の光速で割った値」が「屈折率」で、光の進むスピードは、媒質中を通過するときに遅くなります。

そのため、水中は空気中よりも屈折率が高いのです

クラゲなどの海棲生物は透明度を高めることで水中の屈折率と合わせているのですが、屈折率の低い空気中(陸上)では、透明度があまり意味を持ちません

それよりも、緑の色素を残すことで、周囲の草や葉っぱにうまく溶け込む方が大切なのです。

体の輪郭を消す!新種のカモフラージュ法とは

また詳しい調査の結果、グラスフロッグは胴体よりも足の方が透明度が高いことが分かりました。大した問題ではないと思いきや、これが重要な役割を果たしていたのです。

研究主任のジェームズ・バーネット氏は、次のように解説します。

生物の視覚システムは、2つの異なる色が隣接する輪郭部分(エッジ)に敏感です。2色のコントラストが強いほど、エッジが明確に浮かび上がり、天敵に見つかりやすくなります

しかし、グラスフロッグのように足の透明度が高いことで、輪郭部分が周囲に溶け込みます。特に彼らは、足先を胴体にぴったりとくっつける姿勢を取ることで、葉から胴体への自然なグラデーションを生み、体の線を消していたのです。

credit: ZME Scinece

このカモフラージュ法は、エッジ部分を可能な限り消して、周囲の環境に溶け込むことから「エッジ・ディフュージョン」と命名されています。

バーネット氏によると、「これと同じカモフラージュを実践する生物は他に確認されていない」とのことです。

グラスフロッグが生きる中南米のジャングルは、天敵が数多く存在しているため、昼間は葉陰に隠れて過ごし、天敵がいない夜になってから活動を始めます。

エッジ・ディフュージョンは、グラスフロッグが過酷な環境の中で本能的に編み出した必殺技なのでしょう。

グラスフロッグ/Credit: en.wikipedia

研究の詳細は、5月26日付けで「PNAS」に掲載されました。

Imperfect transparency and camouflage in glass frogs
https://www.pnas.org/content/early/2020/05/22/1919417117

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reference: zmescience / written by くらのすけ
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