”史上最大”マヤ文明で最古の記念碑を発見! 今までの「文明システム」が覆される!

spot 2020/06/04
Credit:猪俣健
point
  • メキシコで史上最大かつ最古のマヤ文明記念碑が発見される
  • 光版レーダーを活用した航空調査によって、隠された記念碑を発見
  • 発見された記念碑は階層社会の無い時代に作られており、当時の人々の建設能力について再考させるものとなった

アリゾナ大学考古学者の猪俣健教授らのチームによって、メキシコ南端のタバスコ州で約1.4kmに及ぶ広大な建造物が発見されました。

アグアダフェニックスと呼ばれるこの遺跡はマヤ文明の記念碑であると考えられており、その中でも最大規模かつ最古のものだそうです。

この発見により、考古学者たちはマヤの建設能力の年表を再調整することになりました。

なぜ、これまで発見されなかったのか?

Credit:猪俣健

アグアダフェニックスは、長さが約1.4km、高さが9~15mであり、9つの広い土手道が含まれています。

調査によると、この遺跡は紀元前1000年~紀元前800年の間に建設されたとのこと。

猪俣氏は、「私たちの知る限り、これまでにマヤ地域で発見された最古の記念碑的な建造物であり、歴史的にも最大のものです」と述べています。

しかし、遺跡が発見された場所は未開のジャングルではなく、既に人々によって開拓された地域です。

それにも関わらず、これほどの規模の遺跡が現代まで発見されなかったのはなぜでしょうか?

猪俣氏はその原因がアグアダフェニックスの平らで広大なつくりにあると指摘しています。

目立った高い建造物があるわけでもなく、しかも非常に広い範囲にわたって作られているため、誰も自分の足元がマヤ文明の記念碑であると判断できなかったのです。

実際に、上空から眺めても自然な風景にしか見えませんでした。

Credit:Nature

ライダー航空調査

そのため、調査チームは、ライダー(LiDAR :light detection and ranging)と呼ばれる光距離測定システムを活用しました。

ライダーはレーダーと似た装置であり、レーダーが電波を利用するのに対してライダーは光を利用します。これにより、高い精度で位置や形状を把握できます。

航空型LiDAR調査のイメージ 。赤外光を航空機から照射し、その跳ね返りを検出することで地表の様子を解析する。/ Credit: ArcGIS Desktop

このライダー航空調査により、人間の目には隠されていたアグアダフェニックスのサイズや15mの高台が発見されました。

マヤ文明の組織構造と建設能力

さて、アグアダフェニックスの広大な台地と土手道は、この記念碑が多くの人々によって使用されるために建設されたことを示しているようです。

そして、これが紀元前1000年に建設されたという事実は、考古学者たちに大きな衝撃を与えるものとなりました。

なぜなら、その時代には階層的社会組織が無かったからです。

猪俣氏によると、「後の時代には、民に仕事を命じる強力な支配者と行政システムがありました。しかし、この遺跡はもっと前のものであり、そのような強力なエリートがいたという証拠は見当たりません」とのこと。

そのため、アグアダフェニックスは、当時の人々の自発的な共同作業の結果だと考えられるのです。

Credit:猪俣健

この事実は、考古学者たちの建設プロセスを再考させるものとなるでしょう。

猪俣氏も「今回の発見は、人間の能力や人間集団の可能性について重要な示唆を与えてくれます。このような巨大なプロジェクトを遂行するためには、必ずしも組織化された政府が必要ではないかもしれません」と述べています。

今後、猪俣氏のチームはアグアダフェニックスでの作業を継続していきます。また、周辺のより広範なライダー分析も行なわれる予定であり、さらなる発見が期待されています。

この発見の詳細は6月3日、「Nature」に掲載されました。

Monumental architecture at Aguada Fénix and the rise of Maya civilization
https://www.nature.com/articles/s41586-020-2343-4

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reference: phys / written by ナゾロジー編集部
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