捕食者”ホオジロザメ”は、ひっそりと海底の生き物を食べていた

animals_plants 2020/06/14
Credit:University of Sydney
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  • ホオジロザメの幼魚40匹の胃袋の中身が調査された
  • 胃袋の大部分を占めていたのはサーモンと海底魚だった
  • ホオジロサメは食事のために海底で長時間費やすと判明

映画「ジョーズ」のモデルとなったホオジロザメ。その強烈なイメージからサメの食生活も過激なものだと考えている人は多いでしょう。

「サメの狩り」としてまず思い浮かべるのは、「水面から見える背ビレ」かもしれません。

しかし、オーストラリアのシドニー大学生命環境科学部の主任研究員リチャード・グレインジャー氏らの研究によると、実際のホオジロザメの食事はもっと地味であり、海底の生き物を多く食べていると明らかになりました。

サメは何を食べているの?

Credit:University of Sydney

研究者たちはホオジロザメの食生活を調査すべく、オーストラリア東部沿岸に生息するホオジロザメの幼魚40匹の胃の内容物を調べることにしました。

その結果、サメの胃の中は次に分類されています。

・遠洋もしくは中水域に生息する魚(オーストラリアンサーモンなど)32.2%

・海底に生息する魚(ヒラメ、カレイ、マゴチ、スターゲイザー)17.4%

・海底に潜んでいるエイ類(アカエイなど)14.9%

・サンゴ礁に住む魚類(イースタンブルーグローパーなど)5%

・その他(未確認含む)30.5%

(左)スターゲイザー/Credit:Commons/Wikipedia、(右)アカエイ/Credit:depositphotos

サメの胃の中の大多数を占めるものはサーモンと海底に生息している魚や砂に埋もれて隠れている魚類でした。

これはサメが、採餌時間の大部分を海底付近で過ごしていることの証明となります。

海の頂点捕食者とも言えるホオジロザメの食事は案外地味だったのですね

摂食と回遊の正しい理解は保護に繋がる

またグレインジャー氏によると、ホオジロザメの幼魚は、海洋哺乳類や他のサメ、頭足類(タコ、イカ)などをあまり食べていなかったとのこと。

特にイルカなどの海洋哺乳類やサメなどの大きな獲物の狩猟は、ホオジロザメの体長が約2.2mに達するまでは行われないようです。

一般的なホオジロザメの捕食イメージ/Credit:Brocken Inaglory/wikipedia

加えて、大型のサメは移動に必要なエネルギーが多いためか、脂肪分の多い食事をする傾向も判明しました。

論文共著者の生命環境科学部デビッド・ラウベンハイマー教授によると、「この結果は、捕食者を含む野生動物が、彼らの栄養ニーズを満たすために、バランスの取れた食事を選択することを示しており、我々が行ってきた他の多くの研究と一致する」とのこと。

今回の研究によりサメに対する固定観念が覆されました。これらの情報はサメの摂食と回遊の習慣を正しく理解するうえで非常に大切なものです。

今後、この研究はサメを保護し、活動を妨害しないために役立てられる予定です。

研究は6月7日、「Frontiers in Marine Science」に掲載されました。

Diet Composition and Nutritional Niche Breadth Variability in Juvenile White Sharks (Carcharodon carcharias)
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmars.2020.00422/full

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reference: phys / written by ナゾロジー編集部
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