8000年前の頭蓋骨から「青い瞳の男性」が完全復元される

history_archeology 2020/06/26
3D復元された男性の胸像/Credit: Oscar Nilsson

2012年に、スウェーデン中東部の都市ムータラにある小さな湖で発見された約8000年前の男性の頭蓋骨

今回、その頭蓋骨をもとに復元された男性の立体胸像が、スウェーデンの法医学芸術家(forensic artist)、オスカー・ニールソン氏により公開されました。

法医学芸術家とは、法的事例に携わる芸術家のことで、例えば、目撃者の証言をもとに犯人の似顔絵を描いたりします。

今回の作業は、頭蓋骨から得られる遺伝的・解剖学的情報をもとに復元されました。

復元プロセスで判明!「青い瞳の50代」

発見された男性の頭蓋骨/Credit: Oscar Nilsson

頭蓋骨は、男性の他に、大人の頭蓋骨が11個と子どもの頭蓋骨が1個見つかっています。

不思議なのは、大人の頭蓋骨1個を除き、あとはすべて顎骨がない状態で湖の底に沈んでいました。うち2つは湖の水面上に突き出た杭の上に置かれており、復元された男性の頭蓋骨もその一つです。

一方で、クマやイノシシといった野生動物の顎骨が同じ場所で見つかっており、埋葬の形式に多くの謎が浮かび上がっています。

3Dプリントされたレプリカ/Credit: Oscar Nilsson

ニールソン氏は、復元にあたり頭蓋骨を傷つけないため、CTスキャンでデータを取り、それをもとにプラスチック製のレプリカを作りました。

それから、顎骨が欠けていたので、頭蓋骨のサイズや形状から顎が再構築されています。

顎骨を再構築/Credit: Oscar Nilsson

次に、遺伝情報から得られた体重や身長をもとに、顔表面の筋肉量や皮膚の厚みを決定していきました。

例えば、この男性は、約1万年前(男性より2000年前)にスカンジナビア半島に移住した人々の遺伝子を受け継ぐ狩猟採集民の一員と思われます。こうした遺伝的なヒントを考慮して、顔のディテールを復元していきます。

遺伝情報から筋肉量を決定/Credit: Oscar Nilsson
皮膚の厚みも同じ手法で復元/Credit: Oscar Nilsson

同じく遺伝情報から、男性の年齢は50代で、こげ茶色の毛髪に青い瞳、色素の薄い皮膚をしていたことが判明しました。

また、頭蓋の頭頂部に長さ2.5センチの傷跡が見つかっています。しかし、傷跡は治癒の兆候を見せており、致命傷ではなかったようです。

この傷跡も再現され、それが見えるように前頭部は短く刈り上げたスタイルで再現されました。

当時の散髪は、刃先の鋭い石器を用いていたと思われます。

Credit: Oscar Nilsson

同じ場所からイノシシやシカの骨が見つかったことから、衣服として野生動物の毛皮が選ばれました。

胸には白いチョークを使ったボディボディペイントを施しています。これは今日の先住民族たちの習慣を参考にしており、この男性が実際にしていたかどうかは分かりません。

こうして完成したのがこちらの胸像です。筋骨たくましい石器時代の漢という感じがしますね。

Credit: Oscar Nilsson
Credit: Oscar Nilsson
復元の一部始終/Credit: Oscar Nilsson

完成した胸像は、現在、スウェーデンのシャーロッテンボー館(Charlottenborg manor house)に展示されています。

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reference: livescience / written by くらのすけ
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