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危機に瀕した人を助けようとしない「傍観者効果」が、ラットでも確認される (2/3)

2021.01.27 Wednesday

2020.07.09 Thursday

前ページ救援が抑制される「傍観者効果」

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ラットで同じ実験をしてみる

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ラットは拘束具のドアを開けて仲間を助ける。/Credit: David Christopher, University of Chicago

まさにこのラタネとダーリーが行った「傍観者効果」の実験をラットでやってみるとどうなるだろうか? ということに興味を持ったのが、今回のシカゴ大学の研究チームです。

この研究チームは以前からラットを使った研究を色々行っており、2011年の研究では、ラットが閉じ込められた仲間を助けようとすることや、エサもその仲間のために取っておくことを発見しています。

また、ラットに抗不安薬を投与した場合、閉じ込められた仲間の不安を感じないために、仲間を助ける確率が低下することも、後の研究から明らかにしています。

このようにラットはかなり高い社会性、共感性を持っていて、別の研究では、ラットだけが過去一緒に過ごした経験を持つ仲間を、助けるという性質も発見しています。

今回の実験では、ラタネらの実験のラット版として、拘束具に捕まったラットと、被験者のラット、そして傍観者役には抗不安薬の投与で無関心になっているラットを使いました。

すると、ラットは1人きりのときはすぐに仲間を助けましたが、傍観するだけの多くの仲間と一緒にされたときは、拘束された仲間を助ける確率が低下するとわかったのです。

研究チームのPeggy Mason博士は「1人でいるより、無反応な観衆が大勢いるほうが状況が悪い」と話しています。また博士は次のようにも述べています。

「ラットは仲間を助けようとしますが、他のラットがまるで気にしているように見えないので、まるでやりがいを失ってしまったようでした」

複雑な社会心理を持たないラットにも「傍観者効果」があるという事実は、この現象が単なる責任問題や、モラルとは異なる要因から発生していることを示唆しています。

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