泥の中の硫化水素が酸化されて消失した
ある時ニールセン氏は、オーフス港の海底からとってきた黒い泥を大きなビーカーに入れました。この泥の中には、泥の色の元である硫化水素がたくさん含まれており、腐卵臭を放っています。
彼がこの泥を30日間放置したところ、泥の中に青白い層ができているのを発見。
泥の中の硫化水素が酸化還元反応によって別の物質へと変化していたのです。これは電子の受け渡し、つまり電流が生まれていたことを意味します。
ニールセン氏の調査により、この原因が泥の中に住む微生物(バクテリア)にあると分かりました。
しかし、当初この発見を懐疑的に思う研究者は多かったようです。
バクテリアの周囲には硫化水素(酸化される分子)がありましたが酸素(還元される分子)はありませんでした。
つまり電子の通り道がないため、酸化還元反応を引き起こせるとは到底考えられなかったのです。