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ケプラーが400年前に見つけた超新星爆発の「破片」は、未だに”減速せずに”宇宙を飛んでいる (3/3)

2021.01.27 Wednesday

2020.08.23 Sunday

前ページ勢いが減速するはずの「Ⅰa型超新星」だった

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なぜ減速しないのか?

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チャンドラX線観測衛星。/Credit:Wikipedia

テキサス大学アーリントン校のMatthew Millard氏率いる研究チームは、2000年、2004年、2006年、2014年、2016年に観測したチャンドラX線観測衛星のデータを使い、15の残骸の位置変化から速度推定値を計算しました。

するとこれらの残骸は速度が一様でなく、飛ばされる方向も異なっていることがわかりました。

8つの残骸は地球から離れるように移動しており、2つは地球方向へ移動しています。残り5つの移動方向は特定できません。

そしてもっとも速度の高かったの4つの塊で、これはすべて同じ方向に動いており、構成元素(シリコンの量)なども同じであるという結果が得られました。

これはこの4つの塊が白色矮星の同じ領域から来ていることを示唆しています。

こうした非対称な残骸の移動を考えると、この超新星は爆発自体が非対称に起きた可能性が考えられます

また、爆発時に星を取り巻いていたガス雲も一部が固体のまま浮かんでいて密度に偏りがあり、一部の残骸はガスの密度が薄い隙間を通り抜けた可能性もあります。

いずれも現状ではそれを証明する手立てはありません。これを明らかにするにはさらなる研究が必要になるでしょう。

なんにせよ、この超新星自体がⅠa型超新星としては異常なエネルギーを持っていた可能性があり、その衝撃波は未だに衰えずことなく宇宙を高速で移動し続けているのです。

つい先日、地球で起きた大量絶滅の原因がこうした超新星の残骸だったのでは? という研究が発表されたばかりですが、超新星の残骸は高エネルギーの荷電粒子を含んだ危険な宇宙線の塊です。

それが400年過ぎても勢いを衰えさせることなく宇宙を移動しているとなると、ありえない話ではないのかもしれません。

この研究は、テキサス大学アーリントン校のMatthew Millard氏率いる研究チームより発表され、論文は天文学に関する学術雑誌『The Astrophysical Journal』に4月20日に掲載されています。

An Ejecta Kinematics Study of Kepler’s Supernova Remnant with High-resolution Chandra HETG Spectroscopy
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ab7db1

影響広すぎ。謎だらけな3億年前の大量絶滅は超新星が原因だった?

reference: sciencealert,phys/ written by KAIN

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