力を加えなくても「自発的に踊り続ける」不思議な液体 (ハーバード大学)

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Credit:Aditi Chakrabarti/Harvard SEAS

外部から力を加えなくても、液体が自発的に動き続ける不思議な現象が観測されています。

この現象は「自励ダンス液滴:Self-excited dancing droplets」と呼ばれており、米国ハーバード大学応用科学部のアディティ・チャクラバルティ氏らによってその仕組みが説明されました。

彼らによると、この液滴の往復運動は「蒸発しやすい液体」と「液体を吸収して膨張するシート」だけで生み出せるとのこと。

自励ダンス液滴は「自発的」に動いている?

私たちの世界では様々なものが「運動」つまり動くことで成り立っています。そしてその中には、自発的に動いているように思える不思議なものもあります。

もちろんエネルギーによって「運動」しているのですが、その作用が直接的ではないため、自発的に動いているように見えるのです。

例えば「非振動エネルギーによって振動が発生・成長・持続する現象」は自励振動(じれいしんどう)と呼ばれており、バイオリンの弦振動などがこれに含まれます。

他にも自励運動は存在しており、チャクラバルティ氏は新しく「自発的に踊る液滴」の仕組みを発見しました。

「自発的に踊る液滴」の仕組み

Credit:Aditi Chakrabarti/Harvard SEAS

映像にあるように、薄いシート上にある液滴は誰かが力を加えているわけでもないのに、左右に動き続けています

そしてこれは非常にシンプルな仕組みで成り立っています。必要なものは「揮発性液滴」と「薄い膨潤性シート」だけです。

揮発性液滴とは蒸発しやすい性質の液滴であり、膨潤性シートとは液体を吸収して膨張するシートのことです。

実験では、膨潤性シートの上に揮発性液滴(アセトンやマニキュアの除光液)などが落とされました。

液滴がシート表面に触れると、液体の一部がシートに吸収されます。するとシートの一部が膨張するためシート上に傾斜ができ、液滴が流れていきます。

液滴が移動すると膨張した部分が空気にさらされるため、吸収された液体が蒸発し、シートは元の形状に戻ります。

そして液滴が移動した先でも同様のプロセスが発生するため、液滴は自発的に振動運動を繰り返すようになるのです。

Credit:Aditi Chakrabarti/Harvard SEAS

「液滴をシート上に落とす」最初の行為や「蒸発」「膨張」「重力」の相互作用という非振動エネルギーが、液滴の継続的振動を作っているのですね。

ちなみに、この運動は「液体が乾燥するまで続く」とのこと。

チャクラバルティ氏は、「このタイプの自己生成モーションはこれまで検討されたことがないため、刺激的なアプリケーションに繋がる可能性があります」とも述べています。

このシステムの応用は小規模エンジン・発振器・ポンプの駆動に役立つかもしれず、今後の研究に期待できるでしょう。

 

この研究は6月25日、「PHYSICAL REVIEW LETTERS」に掲載されました。

Self-Excited Motions of Volatile Drops on Swellable Sheets
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.124.258002

固体・液体・気体に続く物質の”第5の状態”を観測。 絶対零度で起こる量子力学の世界

reference: harvard / written by ナゾロジー編集部
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