盲目のデバネズミは、「不要な目」で磁気を感じ取っていたと判明!

animals_plants

目で磁気を感じていることを科学的に証明するにはデバネズミの犠牲が必要だった
目で磁気を感じていることを科学的に証明するにはデバネズミの犠牲が必要だった / Credit:zoo-leipzig
reference: theguardian

地下に巣を作るデバネズミが目で磁気を感知できることが確かめられました。

今月『Journal of the Royal SocietyInterface』に掲載された論文によれば、モグラのように地下生活をしているデバネズミは、目が退化して光を感じる機能が衰えている一方で、磁気を感じられるようになっていたとのこと。

いったいデバネズミには世界がどのように見えているのでしょうか?

デバネズミは目で磁気を感じている可能性がある

実験で使われたデバネズミは他の地下に棲むげっ歯類と比べて比較的明確な目の構造を保持している
実験で使われたデバネズミは他の地下に棲むげっ歯類と比べて比較的明確な目の構造を保持している / Credit:zoo-leipzig

アフリカの地下に棲む、デバネズミの一種(学名: Fukomys anselli)は、巣作りにおいて興味深い習性が知られています。

彼らが地下に張り巡らせた巣の多くが、一定方向に向けて広がっているのです。

彼らのこの奇妙な習性は生まれ故郷から離れたドイツ実験室でも再現され、円形の飼育環境において巣は、ほとんどが南西方向に拡張されていきました。

デバネズミが何らかの方法で磁気を感じ取っていると予想されていましたが、体のどの部分で、どのように感知しているかは不明でした。

一方、実験に使われたデバネズミには、他の地下生活をおくるげっ歯類と大きく異なる部分がもう一つありました。

他の地下住まいのげっ歯類の多くは、目が退化を起こして消失していますが、デバネズミの目は光を感じる機能が衰え、もはや目として機能していないにもかかわらず、完全な構造を保ったまま、外部からでも認識可能でした

そこで研究者らはデバネズミが目を視覚以外の目的…つまり磁気を感知するために使っているのではないかと仮説を立て、検証することにしました。

検証方法として、薬剤などで目の神経を麻痺させることも可能でしたが、麻酔では視神経だけでなくの機能まで影響を与える可能性があります。

体の他の部分に影響を与えずに、目の機能だけを奪える都合のいい方法を研究者は思いついたのです。

目が磁気を感知しているかどうかを確かめるには摘出すればいい

目で磁気を感じるかどうかを確かめるには目を摘出した個体と行動の差を比べればいい
目で磁気を感じるかどうかを確かめるには目を摘出した個体と行動の差を比べればいい / Credit:zoo-leipzig

問題の解決にあたって、古くから医学部を要するドイツの名門、デュースブルク・エッセン大学の研究者たちは最も明快な方法をとりました。

実験に投入した40匹のデバネズミのうち、22匹から目を外科的に取り除いたのです。

さらに円形の飼育室の周囲に磁気発生装置を構築し、任意の方向を北側として設定できるようにして、無傷のデバネズミと目を摘出されたデバネズミが作る巣の方向を確かめました。

結果、目のある無傷なデバネズミたちは常に磁気的な南東方向に巣を作った一方で、目を摘出されたデバネズミの巣の方向はランダム化していました。

なお、目の摘出によってデバネズミの行動に巣作りの方角以外、変化がないことも確かめられました。

この事実は、デバネズミの磁気を感知する機能が「脳ではなく目の神経に存在していた」ことを示します。

哺乳類における磁気感器官の最初の発見

目で磁気を感じる遺伝子は他の生物に導入可能かもしれない
目で磁気を感じる遺伝子は他の生物に導入可能かもしれない / Credit:depositphotos

今回の研究は、哺乳類の特定の器官が磁気を感じ取るれることを示した初めての研究となります。

現在はまだ、目のどの細胞が磁気感受性を担当しているかまではわかっていませんが、研究者たちはある程度の予測を立てているとのこと。

磁気感受性のある細胞は、磁鉄鉱や磁性鉱石の粒子を内部に含んでいるはずであり、摘出した目を細かく解体することで、磁気を感知する細胞が特定可能だからです。

また磁気感受性とかかわる遺伝子を発見できれば、その遺伝子を他の生物に組み込み、磁気感受性を付与できるかもしれません。

そうなれば、いつか人間も磁気を目で「見て」判断できるかもしれませんね。

あわせて読みたい

SHARE

TAG