イヌをはじめとした多くの動物がペニスの骨を持っている
イヌをはじめとした多くの動物がペニスの骨を持っている / Credit:Manchester Metropolitan University
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「ペニスの骨」はライバルの精子をメスから”かき出す”ために発達した可能性がある (2/3)

2021.01.28 Thursday

2020.10.16 Friday

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究極の進化をみせたペニスの骨

ラーテルのペニスの骨は非常に効果的な構造をしている
ラーテルのペニスの骨は非常に効果的な構造をしている / Credit:Manchester Metropolitan University

今回の研究では様々な動物の陰茎骨の3D分析が行われ、陰茎骨の様々な機能が明らかになりました。

陰茎骨はライバルのオスの精子をかき出すだけでなく、交尾時間を劇的に増大させることでメスの占有時間を延ばすとともに、メスの体内を効果的に刺激して排卵を促し、確実な受精を行うといった機能があったのです。

ペニスの骨がもたらす高い受精率は、縄張りを維持するコストや他のオスとの争いも必要なく、最小限の変化で最大の効率をもたらす非常に効果的な手段でした。

しかし進化したペニスの骨が成功しても、周りが自分たちのペニスの骨を引き継いだ子孫で満たされると状況は振り出しに戻ります。

あとは競争が延々と続き、より優れたペニスの骨を持った個体が勝者となるだけです。

そんな進化の末に、最も奇抜な陰茎骨を持るに至ったのは、ラーテルのオスでした。

ラーテルのオスの陰茎骨は上の図のように、先端がカップ状になっており、ライバルの精子をメスの体内からこそぎ落とすように排除できます。

また強くペニスを押し込むことで、メスの子宮口を覆うようにカップが包み込み、子宮内部に向けて精子を漏らすことなく送り届けることが可能になります。

ラーテルは夫婦仲が非常によく、ペアで行動することが多いと言われています。

またメスが発情期になると、オスはメスを巣穴で保護して、最大で3日間にわたり休む間もなく交尾を続けるとのこと。

そんな仲睦まじく独占欲が強いラーテルですが、このペニスの骨をみると、その夫婦仲も疑わしいのかもしれません。

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