アインシュタインの理論により、宇宙を孤独に旅する最小の「自由浮遊惑星」を発見! 惑星形成のナゾを解くカギになるかも

重力マイクロレンズ効果で発見された地球質量の自由浮遊惑星。
重力マイクロレンズ効果で発見された地球質量の自由浮遊惑星。 / Credit: Jan Skowron / Astronomical Observatory, University of Warsaw.

地球は太陽系の一員で、太陽の周りを離れることなくずっと回り続けています。

私たちの知る多くの惑星は、そんな星系に属するメンバーです。しかし、宇宙にはどの星系にも属さず、1人孤独に銀河を旅する自由な惑星も存在するのです。

10月29日付で科学誌『Astrophysical Journal Letters』に掲載された新しい研究は、そんな自由浮遊惑星について地球と同サイズのものを発見したと報告しています

これまで発見された自由浮遊惑星は木星の数倍という巨大なものばかりでした。今回の研究はこれまでで最小サイズの自由浮遊惑星を発見したことになります。そしてそんな惑星は、宇宙でもっともありふれている可能性があるのです。

 

自由に宇宙を旅する孤独な惑星

木星サイズの自由浮遊惑星のコンセプトアート。
木星サイズの自由浮遊惑星のコンセプトアート。 / Credit:NASA/JPL-Caltech

現在4000を超える太陽系外惑星が発見されていて、それは皆、地球のように星を周回しています。

しかし、惑星の形成と進化の理論では、必ずしも惑星は何らかの星に重力的に束縛されている必要はないことを示唆しています

いずれの星系にも属さずに孤独に宇宙を漂う惑星のことを「自由浮遊惑星(英:rogue planet)」と呼びます。

こうした惑星が形成される理由は、星の誕生と同様に宇宙を漂うガスや塵の雲から初めから孤立して生まれる場合や、もともとは星系に属して誕生したけれど別の天体との衝突などによって、星系から押し出されてしまった場合などが考えられます。

こうした自由浮遊惑星は、現在のところはほとんど発見されておらず、見つかったものは木星の2倍から40倍(木星は地球の300倍)の質量を持つ巨大な惑星ばかりです。

しかし、今回の研究では地球サイズの自由浮遊惑星が初めて発見されました。

重力マイクロレンズ効果で探す自由浮遊惑星

私たちが系外惑星を探す場合、それは所属する星へ及ぼす重力的な影響(視線速度法)や、星の前を横切ることでを遮る食(トランジット法)を利用しています。

自らはほとんど光を発することもなく、恒星に比べればはるかに小さい惑星を遠くの宇宙から見つけ出すには、近くの恒星の助けが必要なのです。

では、どの星系にも属していない孤独な惑星は、一体どうやって発見すれば良いのでしょう?

これにはアインシュタイン一般相対性理論の効果で生じる現象「重力レンズ」を利用します。

重力マイクロレンズ効果を起こす自由浮遊惑星。
重力マイクロレンズ効果を起こす自由浮遊惑星。 / Credit: Jan Skowron / Astronomical Observatory, University of Warsaw.

これは巨大な質量の物体が地球の観測者と、遠い天体の間を通過するとき重力によって背後の天体の光を偏光させて虫眼のように集める現象です。

これによって遠い天体の光が、一時的に増して見えるのです。

もっとも惑星レベルの重力では、生み出される重力レンズはささやかなものです。そのため自由浮遊惑星を発見するためのこの方法は「重力マイクロレンズ法」と呼ばれています。

また、光を曲げる物体が小さければ小さいほど、星の明るさが変化する時間は短くなります

木星の数倍の質量を持つ惑星の場合、数日ほど背後の天体が明るくなることがありますが、地球サイズの場合は数時間以下しか効果が続きません。

広い宇宙からこのささやかな変化を見つけ出すのは非常に骨の折れる作業です。そのため、これまでは木星の数倍以上の自由浮遊惑星が、僅かな数発見されているに過ぎませんでした。

宇宙で広く重力マイクロレンズを探る「OGLE(オーグル)」

「もし、1つの天体の光源に絞って重力マイクロレンズが起きるのをじっと待っていたら、自由浮遊惑星を発見するの100万年近く待たなければならないでしょう」今回の研究の主執筆者であるカリフォルニア工科大学のポスドク研究者プシャメク・モルズ氏はそう語ります。

しかし、幸いなことにモルズ氏のチームは研究のために1つの星を観測する必要はありませんでした。彼らは何億もの星を一挙に観測したのです。

これを可能にしたのはポーランドのワルシャワ大学が主導する重力マイクロレンズを発見するプロジェクト「OGLE(オーグル)」でした。

このプロジェクトはもともと重力レンズを利用して暗黒物質を発見するということが主目的でしたが、1992年以降28年以上に渡って、最大かつ最長の空の調査を行っており、少なくとも17個の太陽系外惑星を発見しています。

モルズ氏のチームもこのOGLEの観測を利用して、天の川中心部の重力マイクロレンズの兆候を探したのです。

小さな惑星の起こす重力マイクロレンズは非常に短時間しか起こらない。
小さな惑星の起こす重力マイクロレンズは非常に短時間しか起こらない。 / Credit: Jan Skowron / Astronomical Observatory, University of Warsaw.

こうしてチームは2016年6月に、これまででもっとも短い重力マイクロレンズ現象を銀河系のもっとも星が密集したエリアから発見しました

それは地球からは2万7千光年離れた場所で、約42分間だけ光が明るくなっていました

重力マイクロレンズ現象の持続時間は、そこにある天体の質量と関連しています。この観測データから計算すると、問題の天体は地球とほぼ同一か、小さくとも半分程度の質量で、周囲8天文単位(地球ー太陽間を基準にした宇宙の距離単位)以内のどの星にも属していませんでした

それはほぼ確実に、小さな自由浮遊惑星だと確認されたのです。

地球サイズの自由浮遊惑星の最初の発見

惑星形成理論に従えば、銀河には輝く恒星の数を上回る数千億もの自由浮遊惑星があり、その大部分は地球質量以下のものだと予想されています

しかし、実際この予想に従った地球質量以下の自由浮遊惑星は、今回が初めての発見です。

「アインシュタインの理論によって、銀河系に浮かぶ小さな岩石の欠片を発見できたのは本当に驚きです」とモルズ氏は述べています。

この自由浮遊惑星がどこからやってきたのか? もともとはどの星系に属し、そこからどれだけ離れてきたのかは、現在の技術ではわかりませんが、これは長年議論されてきた惑星形成の理論を証明する最初の証拠となるものかもしれません

NASAのナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡(2020年代半ばに打ち上げ予定)が稼働すれば、今回のようなささやかなマイクロレンズをはるかに効率的に探すことができると言います。

まだほとんど見つかっていない孤独な惑星の秘密は、今後いろいろと明らかになっていくのかもしれません。

それにしても、何にも属さず宇宙を漂う惑星とは、なんだかロマンを感じます。そんな自由な生き方もありかもしれないと、ふと思ってしまいますね。

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