ペンシルベニア州立大学では走行距離の心配がなく、安全性、低コスト、コバルトを含まない大衆向けバッテリーが開発されている。
ペンシルベニア州立大学では走行距離の心配がなく、安全性、低コスト、コバルトを含まない大衆向けバッテリーが開発されている。 / Credit:CHAO-YANG WANG’S LAB, PENN STATE
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10分の急速充電を可能とした「電気自動車用バッテリー」が登場! 決め手は充電時の加熱!?

2021.01.27 Wednesday

2021.01.19 Tuesday

地球温暖化の原因とされるCO2の排出削減に伴って、ガソリン車を排除して電気自動車へ切り替えようという動きが各国で進んでいます。

しかし、電気自動車の利用については、走行距離や安全性、コストなどについて不安を感じている人は多いかもしれません。

1月18日に科学雑誌『Nature Energy』で発表された新しい研究は、10分で急速充電が可能であり、1回の充電による走行距離は400km以上、安全性が高く長寿命の大衆向け電気自動車用バッテリーの開発状況を報告しています

研究者はこのバッテリーが寿命を迎えるまでに320万kmも走行でき、手頃な値段で入手可能だと話しています。

>参照元はこちら(英文)

Penn State https://news.psu.edu/story/643897/2021/01/18/research/inexpensive-battery-charges-rapidly-electric-vehicles-reduces-range

電気自動車につきまとう不安を解消するバッテリー

バッテリーの充電には時間がかかるイメージがある。
バッテリーの充電には時間がかかるイメージがある。 / Credit:canva

日本政府は現在、2030年中頃までにガソリン車の販売を中止させすべての自動車を電気自動車へ切り替えていくという方針を発表しています。

正直、この発表に度肝を抜かれた人も多いかもしれません。

すでに販売が行われているとは言え、電気自動車とはどの程度実用的な自動車なのでしょうか?

これまでのガソリン車同様の走行は約束されるのでしょうか?

私たちの身の回りには、スマートフォンやBluetooth接続機器などバッテリーで稼働する多くの電化製品が存在していますが、そのほとんどは長時間の充電を必要とし、稼働時間には限界があります。

うっかり充電し忘れて出勤前に焦ったなんて経験は、誰の記憶にもあることでしょう。

そのため自動車をバッテリーだけで動かすと言われた場合、給電時間や走行距離、さらにバッテリーの価格や劣化速度、それらに伴う安全性などさまざまな不安が浮かんでしまいます。

しかし、ペンシルベニア州立大学の研究チームは、そうした問題を解消する電気自動車用バッテリーを開発したと報告しています。

研究者によると、このバッテリーは10分以内の急速充電が可能で、走行距離は400km以上、長寿命で320万km以上を交換無しで走行でき、値段も大衆向けに安価に抑えられ、小型で安全性も高いのだといいます。

ではどうやって、そんなバッテリーを実現させたのでしょうか? 研究者はその鍵が、急速な加熱にあるのだといいます。

次ページ急速加熱で長寿命、急速充電、安全性を確保

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