「女体化」待ったなし。温かいとメスに性転換するトカゲの未来がヤバイ

science_technology 2017/12/06
Credit: Wikipedia / フトアゴヒゲトカゲ

私たち人間からすると不思議なもので、世の中には雌雄同体だったり、生まれてから性別が変わったりする、なんとも性別があやふやな動物たちがいます。

それらの多くは魚類や貝類ですが、過去の研究で爬虫類にも性転換する種がいることがわかっています。

その中の一つが、オーストラリアに生息するメスの「フトアゴヒゲトカゲ(central bearded dragon)」。最近、このトカゲの胚が成長の段階で陰茎のようなものを変化させるという研究が発表されました。

しかし気温によって性が変化するということは、不安なのが温暖化の影響です。場合によってはフトアゴヒゲトカゲさんの総「女体化」もあり得る……のか?

※フトアゴヒゲトカゲとは?
オーストラリア東部から南東部に生息する、アガマ科アゴヒゲトカゲ属に分類されるトカゲ。
最大全長49m。繁殖形態は卵生で、11〜26個の卵を産む。 – Wikipediaより引用

Source: Sex determination mode does not affect body or genital development of the central bearded dragon (Pogona vitticeps) – EvoDevo
https://evodevojournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13227-017-0087-5

気温によって性転換するトカゲ

クイーンズランド大学とキャンベラ大学の研究者及びオーストラリア連邦科学産業研究機構は、フトアゴヒゲトカゲに高温処理を施すと生殖器が反転することを発見をしました。

同大学の生物化学の研究者であるヴェラ・ヴェイスベッカー博士は、過去の研究で成体のオスにメスの生殖器と似たものがあったため、研究者間ではオスのヒゲトカゲの生殖器の発達段階で何かしらの変化があったのではと予測していたと言及しました。

この研究は、平温及び高温の中で、胚の発達段階では遺伝的にメスであったヒゲトカゲの性別が、オスに転換するという詳細な成長過程の研究結果を出したとヴェイスベッカー博士は述べます。

「我々のチームでは、265のヒゲトカゲの卵を28℃と36℃と温度の違う環境で育てると、36℃でオスからメスへの遺伝的な性別転換が見られました。このようにメスが半陰茎(トカゲ類などが持つ袋状の陰茎)を変化させる方法は、哺乳類のものと似ており、とても奇妙なものでした」

ヴェイスベッカー博士の教え子であるサラ・ホワイトリーは、この結果に大きな驚きを隠せません。

「初期のメスの胚はオスの胚のような2つの半陰茎があるのですが、孵化する直前にそれが無くなるのを発見しました」とホワイトリーは言います。

通常は陰部の発達によって性決定がなされますが、フトアゴヒゲトカゲは、温度による性決定か、性染色体によって性決定が行われるようです。

ホワイトリーは続けて、「私たちは、上記2通りの発育モデルの違いについてほとんど何も知りません。これらの研究結果は、私たちの進化と遺伝的な性決定に新しい見識を与えるでしょう」と語りました。

ヴェイスベッカー博士は、「広い見識への最大の障壁は、多くの文献があるオスの生殖器の成長や多様性に比べ、爬虫類のメスの生殖器について知識が乏しいことです。」と述べています。

絶滅まっしぐら? 地球温暖化とヒゲトカゲ

Credit: pixabay

今回実験した培養温度は、ヒゲトカゲの体の回復力と生殖器に大きな変化を持たせるものです。

「高い気温では、ほとんどがメスとして孵ります。そのため、フトアゴヒゲトカゲにとって温暖化などの気候変化が、種の脅威となる可能性があります」とヴェイスベッカー博士は警告しています。

 

温度によって性別を決定する動物にとって、地球温暖化はとても脅威です。最近でも、地球全体で「海の酸性化」が進行しているという報道があり、それによる地球温暖化の促進が懸念されています。一つの要因でどこまで生態系に影響が及ぶかはっきりわからないところが、気候変動や温暖化の怖いところです。

フトアゴヒゲトカゲたちの気温による性決定機構が、今後の気候変動で凶と出るか、それとも吉と出る可能性もあるのか。それはまだ誰にもわかっていません。

 

via: phys.org , nature.com/ text by nazology staff

SHARE

science_technologyの関連記事

RELATED ARTICLE