独立宣言文とUCIのマークを保存したTNAを手にしたジョン・シャプー氏。
独立宣言文とUCIのマークを保存したTNAを手にしたジョン・シャプー氏。 / Credit: Steve Zylius/UCI
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地球上のデータを「DNAの塩基配列」に変換して保存する新しい記憶媒体を開発

2021.03.05 Friday

John Chaput can store the Declaration of Independence in a single molecule(UCI) https://news.uci.edu/2021/03/01/dna-data-storage-redesigned/
Reading and Writing Digital Information in TNA https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32966745/

現在、世界中で扱われるデータ総量は、指数関数的に急上昇を続けています。

近い将来、人類は保存可能な容量よりもはるかに多くのデータを生産する時代になると懸念されています。

カリフォルニア大学アーバイン校の研究チームは、この問題に対してDNAを利用した新しいデータストレージを提案しています。

彼らはDNAよりも損傷に強いTNA(トレオース核酸)を用いて、1分子に独立宣言文と大学のロゴを格納し、また読み取ることに成功したといいます。

加速的に増え続ける世界のデータ総量

IT専門調査会社IDCの報告によると、2020年の全世界のデータ総量は約59ゼタバイト(ZB)にのぼると推定されています

ゼタバイトというのは、馴染みのない単位ですが、1ゼタバイト(ZB)=10億テラバイト(TB)=1兆ギガバイト(GB)です。

これでもまだあまりピンと来ませんが、データを収容するには、物理的にどのくらいの広さが必要になるのでしょうか?

たとえば10億ギガバイトのデータを収容しようと考えた場合、現在の技術では約140万平方メートルの面積が必要になると言われています。

近い広さをあげるとすれば、皇居の全面積115万平方メートルと言われているので、皇居全域を利用しても10億ギガバイトすら収められないということになります。

1979年に撮影された皇居周辺の航空写真。
1979年に撮影された皇居周辺の航空写真。 / Credit:Wikipedia,国土交通省

ちなみに10億ギガバイトは0.001ゼタバイトです。

「いずれ、人類は保存できるよりも多くの情報を作成するようになるでしょう。そのとき、私たちには何ができるでしょうか?」

そう語るのは、今回の研究チームを率いるカリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の分子生物学者ジョン・シャプー教授です。

彼のチームは増え続けるデータ量の問題を解決するべく、人工的に合成したDNAを利用して、半永久的なデータストレージを開発する研究を進めています。

情報を遺伝的データに変換するという研究は比較的新しい分野です。

DNAにデータを記録したり、DNAからデータを復元できるようになったは、わずか8年前のことです。この分野のもっとも大きな進歩はこの2年間のことで、コストや時間の面で急速進歩しました。

ただ、DNAをデータストレージに使うという方法には決定的な問題点がありました。

それはDNAが非常に脆い、という問題です。

今回の研究のメインは、1つにこの脆いDNAを改善して半永久的な保存媒体に変えたという点にあります。

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