強靭なスーツをまとう「カイコウオオソコエビ」
強靭なスーツをまとう「カイコウオオソコエビ」 / Credit: DAIJU AZUMA/WIKIMEDIA COMMONS
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地獄の深海1万mに生息し「アルミニウム装甲」をまとった小エビの秘密 (2/2)

2021.04.12 Monday

前ページ神も恐れる「深海1万メートル」の世界

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「アルミニウム」は代謝で生み出されていた!

しかし、深海に溜まっている沈殿物を調べてみると、そこに豊富なアルミニウムが含まれていることが判明したのです。

カイコウオオソコエビは、この沈殿物を利用していると考えられます。

そこで研究者らは、アーマードスーツの製造プロセスを解明するべく、メタボローム解析を行ないました。

メタボロームとは、簡単に言うと、口にした食べ物が代謝される過程で作られる物質のこと。

解析の結果、カイコウオオソコエビの体内にある「グルコン酸」という化学物質が、沈殿物からアルミニウムイオンを引き抜いていることが判明したのです。

カルシウム(赤)、アルミニウム(緑)
カルシウム(赤)、アルミニウム(緑) / Credit: plos.org

引き抜かれたアルミニウムイオンは、アルカリ性の海水の中に解き放たれることで、ジェル状の水酸化アルミニウムに変化

これがカイコウオオソコエビの外骨格を覆うアーマードスーツの正体でした。

アーマードスーツには深海の圧力を和らげる効果や、さらには外骨格から炭酸カルシウムが溶け出すのを防ぐ効果があります。

それを単なる代謝活動で作り出してしまうとは…さすがのアイアンマンも白旗を上げるでしょう。

 
この記事は、2019年5月2日掲載の記事を再編集したものです。

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