眼の水晶体が透明になる仕組みを解明! 溶かされるミトコンドリア
眼の水晶体が透明になる仕組みを解明! 溶かされるミトコンドリア / Credit:Nature
biology

100年以上ナゾだった「眼の水晶体が透明になる仕組み」を解明! 溶かされるミトコンドリア

2021.04.20 Tuesday

眼の水晶体が透明になる仕組みの解明  ~新たな細胞内分解システムの発見~ https://www.jst.go.jp/pr/announce/20210415-3/pdf/20210415-3.pdf
Organelle degradation in the lens by PLAAT phospholipases https://www.nature.com/articles/s41586-021-03439-w

透明化の秘訣は不要物の分解のようです。

4月14日に『Nature』に掲載された論文によれば、水晶体の透明化において、ミトコンドリアや小胞体を分解する酵素が重要な役割を果たしていることが示されました。

脊椎動物の水晶体では核やミトコンドリアなどの細胞小器官が分解されることが100年以上前から知られていましたが、その仕組みと役割は謎なままでした。

ですが今回の研究により、細胞小器官の分解が透明化に必須であることが示されます。

しかし、いったいどんな仕組みで、細胞たちは自らの内部構造を分解していたのでしょうか?

水晶体では大事なものがなくなっている

水晶体の細胞は核やミトコンドリアがなくなりクリスタリンで充填されている
水晶体の細胞は核やミトコンドリアがなくなりクリスタリンで充填されている / Credit:RCSB PDB

眼においてレンズとなる水晶体は、を通すために透明でなければなりません。

この透明さは、水晶体の細胞が「クリスタリン」と呼ばれる透明なタンパク質で満たさることにより実現します。

しかし、このような単一のタンパク質で細胞を満たすと、細胞の生命活動が停止してしまい、2度とクリスタリンは作られなくなります。

そのため子どものころに作られたクリスタリンの多くは、生涯を通して使われ続けることになるのです。

水晶体の細胞は成熟すると細胞小器官が消えていくことが100年前から知られていた
水晶体の細胞は成熟すると細胞小器官が消えていくことが100年前から知られていた / Credit:東京大学

一方で、およそ100年前から、水晶体の細胞では「核やミトコンドリアなどが分解される」ことが知られていました。

しかしこれまでの研究で解明されたのは核のDNA分解の仕組みのみであり、ミトコンドリアや小胞体といった、その他の細胞小器官の分解の仕組みと透明化への関与は不明でした。

そこで今回、東京大学の研究者たちはゼブラフィッシュの水晶体で活発に働いている遺伝子など約60種類を特定するとともに、それらを順番に破壊していきました。

60種類の遺伝子の中に分解に重要な役割を担っているものがあるならば、破壊によってミトコンドリアなどの細胞小器官を存続させることが可能になるはずと考えたからです。

細胞たちはいったいどんな遺伝子を使って、自分の内部にある小器官を処分するという、自傷行為のような変化を引き起こしていたのでしょうか?

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