顔はカメよりカエル、食事は丸呑みスタイル
化石は2015年に、マダガスカル北部で恐竜の遺跡を調査していた際に発見されました。
最初に甲羅の一部が出土したことに驚き、さらに発掘を続けると、甲羅の他にほぼ無傷の骨格全体が回収されたのです。
甲羅の長さは約25センチで、平らな頭蓋骨、丸みを帯びた口はカメというよりカエルに近いです。
また、大きな舌骨を持っており、摂食はエサごと水を飲み込む吸引式だったと考えられます。
ジョイス氏は「吸引摂食は水生生物の特殊な食事法であり、素早く口を開けて、プランクトンや稚魚ごと大量の水を吸い込みます。
獲物を直接食道に運ぶため、咀嚼の必要がなく、強い顎は持っていません。
このカメはサイズの割に舌骨が大きいことから、喉を素早く拡張するための強力な筋肉を持っていたと見られる」と説明します。
学名は、マダガスカルの地元民の言葉で「口のはやいカエルガメ(quick-mouthed frog turtle)」を意味する「Sahonachelys mailakavava」と命名されています。
本種がいつ出現し、何が原因で絶滅したのかは分かっていませんが、研究チームは「約6600万年前に恐竜時代を終わらせた巨大隕石の衝突は生き延びた可能性が高い」と考えています。
この点も含め、今後は本種がどれほどの範囲に繁栄していたかを調べていく予定です。