人間の近くで暮らすキツネザルの腸内には薬剤耐性菌が発見されている
人間の近くで暮らすキツネザルの腸内には薬剤耐性菌が発見されている / Credit:canva
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人間の近くで生活するキツネザルの腸内から薬剤耐性菌が発見される

2021.08.13 Friday

Drug-resistant bacteria found in the guts of lemurs who live around humans(Phys) https://phys.org/news/2021-08-drug-resistant-bacteria-guts-lemurs-humans.html
Antibiotic Resistance Genes in Lemur Gut and Soil Microbiota Along a Gradient of Anthropogenic Disturbance https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fevo.2021.704070/full

抗生物質に耐性を持つようになった細菌のことを「薬剤耐性菌」と呼びます。

耐性菌が増え続けると人類は多くの病気に対して打つ手がなくなってしまいます。

そのため、米国疾病管理予防センター(CDC)は、世界でもっとも緊急を要する公衆衛生上の危機の1つとして、この薬剤耐性菌をあげているほどです。

なんとかして薬剤耐性菌の増加は食い止めていかなければならないのです。

ところが、米国ディーク大学の研究チームは、人間に近い場所で生活するキツネザルの腸内に、抗生物質耐性菌が存在していることを発見したと報告しています。

これは人間との距離が近ければ近いほど高くなり、ペットのキツネザルは野生の35倍もの割合になるというのです。

研究の詳細は、8月9日付で科学雑誌『Frontiers in Ecology and Evolution』に掲載されています。

 

 

細菌と人類の戦い

細菌はどこにでもいる存在で、病気の原因になることも多い
細菌はどこにでもいる存在で、病気の原因になることも多い / Credit:canva

私たちが病気になるとき、その原因はだいたいが体内に入り込んだ悪いウイルスや細菌です。

そして、体内に入り込んだ細菌を退治するための人類の武器こそが、抗生物です。

虫歯を抜いたり、怪我をしたりしたとき、お医者さんは抗生物質を処方します。

これは傷口があれば基本的にそこから細菌は入ってくるので、あらかじめ対処するために飲んでいるのです。

そしてこうした薬が処方されるとき、絶対ちゃんと薬を飲みきってくださいね、と注意を受けるはずです。

体内に入り込んだ細菌と戦う人類の武器こそが抗生物質。必ず飲みきってください。
体内に入り込んだ細菌と戦う人類の武器こそが抗生物質。必ず飲みきってください。 / Credit:canva

抗生物質は体内に入り込んだ細菌にとっては毒です。

しかし、細菌は非常に適応力の高い生き物なので中途半端に抗生物質を飲むと、死なない程度に細菌を痛めつけて、彼らに耐性を付けさせるだけで終わってしまうのです。

おかわりもいいぞ、と訓練を受けて耐性を手に入れた細菌は、その後同じ抗生物質では退治できなくなってしまいます。

これを解決するには、新しい強い抗生物質を作るしかありません。それにも耐性を獲得されたら、さらに新薬を作って対処します。

実際、現在の医学はそのイタチごっこを細菌と繰り返しています。

当然、こんなことを繰り返していては、人類がジリ貧になって敗北する未来しか見えてきません。

そのため、米国疾病管理予防センター(CDC)は、世界でもっとも緊急を要する公衆衛生上の危機の1つとして、抗生物質耐性菌の問題をあげているのです。

しかし、いくら細菌の適応力が高いとはいえ、なぜこれほど簡単に抗生物質耐性を手に入れてしまうのか、またその耐性菌がなぜ容易に世界へ広がって言ってしまうのかは、よくわかっていません。

そんな中、報告されたのが今回の研究で、人類にとっては遠い霊長類の親戚といえるキツネザルの腸内から抗生物質耐性菌が見つかったというのです。

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