鉄の酸化還元が可能な微生物が沼地から発見される
鉄の酸化還元が可能な微生物が沼地から発見される / Credit:Depositphotos
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鉄の酸化も還元もできる微生物を発見!日本の沼地に生息

2021.09.05 Sunday

単独で鉄を酸化も還元もできる微生物の発見 -微生物による鉄代謝の新たな一面- https://www.riken.jp/press/2021/20210902_2/index.html
A Single Bacterium Capable of Oxidation and Reduction of Iron at Circumneutral pH https://journals.asm.org/doi/10.1128/Spectrum.00161-21

鉄(Fe)は、ほぼすべての生物が生命活動を営むうえで欠かせないものであり、酸化還元反応を繰り返しながら地球上を巡っています。

そしてこの酸化還元サイクルは、主に微生物によって行われています。

今回、理化学研究所(理研)バイオリソース研究センター微生物材料開発室の加藤 真悟氏ら研究チームは、日本の沼地から鉄の酸化と還元を両方できる微生物「MIZ03株」を新しく発見しました。

MIZ03株は中性pH条件下での酸化還元反応が可能なため、これまでの常識を覆す存在として、今後の応用に期待できるでしょう。

研究の詳細は、8月25日付の科学誌『Microbiology Spectrum』に掲載されました。

未知の鉄酸化還元微生物を探す

地球上の鉄は主に二価「Fe(II)」と三価「Fe(III)」の状態で存在しています。

同じく地球上には、鉄を酸化する微生物や鉄を還元する微生物が数多く存在しており、微生物たちによる酸化還元サイクルが成り立っています。

それらの中には、酸化と還元を両方行える微生物も存在しますが、酸性pH条件下などの極端な環境で生育する種しか知られていません。

(左)鉄マット,(右)鉄酸化微生物の培養
(左)鉄マット,(右)鉄酸化微生物の培養 / Credit:加藤真悟(理研)_単独で鉄を酸化も還元もできる微生物の発見-微生物による鉄代謝の新たな一面-(2021)

そこで研究チームは、地球の大部分を占める「普通の中性環境」で、鉄を酸化還元できる微生物を探すことにしました。

チームが調査したのは、茨城県つくば市の湿地帯で見つけた「鉄マット」と呼ばれる酸化鉄沈殿物(18℃、pH 6.5)です。

これは鉄酸化微生物の活動の証拠であり、沼地などでよく見られます。

緑色の蛍光試薬で染めたMIZ03株細胞の顕微鏡観察像(スケールバー、10um)
緑色の蛍光試薬で染めたMIZ03株細胞の顕微鏡観察像(スケールバー、10um) / Credit:加藤真悟(理研)_単独で鉄を酸化も還元もできる微生物の発見-微生物による鉄代謝の新たな一面-(2021)

そして鉄マットから採取した微生物を分析したところ、既知の微生物に加え、これまで鉄を酸化させると予想されていなかった系統の微生物を発見。

研究チームは、その微生物を「MIZ03株」と名付け、試験管で培養して詳しく調査しました。

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