血と汗と涙を材料に「宇宙コンクリート」の生成に成功
血と汗と涙を材料に「宇宙コンクリート」の生成に成功 / Credit: Aled D.Roberts et al., Materials Today Bio(2021)
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人間の「血と汗と涙」を原料にした宇宙コンクリートの生成に成功

2021.09.15 Wednesday

Cosmic concrete developed from space dust and astronaut blood https://phys.org/news/2021-09-cosmic-concrete-space-astronaut-blood.html Future Mars Housing May Be Built With Astronaut Blood and Pee https://interestingengineering.com/future-mars-housing-may-be-built-with-astronaut-blood-and-pee?utm_source=rss&utm_medium=article&utm_content=14092021
Blood, sweat and tears: extraterrestrial regolith biocomposites with in vivo binders https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2590006421000442

火星の植民地計画が進む中、コロニーの建設費と材料をいかに調達するかが大きな問題となっています。

レンガ1個を火星に送るのに約200万ドルかかると見積もられており、宇宙飛行士とともに材料を送るのは不可能です。

しかし、マンチェスター大学(University of Manchester・英)の研究チームはこのほど、これらの問題を克服しうる新技術の開発に成功したと発表しました。

それは、現地で調達できるレゴリス(岩石の堆積層)に、宇宙飛行士から排出される血と汗と涙と加えて、コンクリートを作る技術です。

実験では、通常のコンクリートより強度の高い材料の生成に成功したとのこと。

研究は、9月10日付けで学術誌『Materials Today Bio』に掲載されています。

 

血中タンパク質とレゴリスで「コンクリート」が作れる

面や火星でのコロニー建設には、地球からの材料調達が難しいため、現地で入手できる資源を有効活用しなければなりません。

こうした「あり合わせの資源」を使う技術を「in-situ resource utilization(ISRU)」と呼びます。

基本的には、月面や火星上で採取できるレゴリスや岩石、および水の堆積物が中心となります。

しかし、見落とされている重要な資源があります。

それが、宇宙飛行士です。

もっと具体的に言えば、宇宙飛行士が現地で排出する血と汗と涙、そして尿です。

研究チームは今回、人の血液中ぶ存在するタンパク質の「ヒト血清アルブミン(HSA)」が、模擬ダスト(月や火星で採取できるレゴリスに近いもの)を結合して固めるバインダーとして機能することを発見しました。

HSAは、献血と同じ手順で、宇宙飛行士から安全に抽出できます。血漿中に最も多く含まれるタンパク質でもあり、1日あたり12〜25gの割合で補充されます。

HSAと模擬ダストを組み合わせた結果、25MPa(メガパスカル)という高い圧縮強度をもつコンクリートの生成に成功しました。

生成された材料
生成された材料 / Credit: Dr. Aled Roberts | Research FellowFuture Biomanufacturing Research HubManchester Institute of Biotechnology(2021)

これは通常のコンクリートの20〜32MPaとほぼ同じ強度です。

この新たな素材は、宇宙飛行士とコンクリートの融合したものとして、「アストロクリート(AstroCrete)」と命名されました。

さらにチームは、アストロクリートの強度を格段に高める方法も発見しています。

次ページ「尿素」を加えることで、強度が300%上昇

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