宇宙の始まりとされるビッグバンは特異点であり、既存の理論では計算できない
宇宙の始まりとされるビッグバンは特異点であり、既存の理論では計算できない / Credit:canva
physics

宇宙に始まりはなく過去が無限に存在する可能性が示される (2/3)

2022.07.19 Tuesday

2021.10.14 Thursday

前ページ物理学が未だに説明できていない問題

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時間と空間とはなんなのか?

今回の研究チームの一人、英国リバプール大学の物理学者ブルーノ・ベントー氏は時間の本質について研究を行っています。

彼は宇宙の始まりを考えるという今回の研究において、「因果集合理論」と呼ばれるものを採用しました。

あまり聞き馴染みのない理論ですが、「因果集合理論」とはどのような理論でしょうか?

現在の物理学では、時間や空間はなめらかに連続した布のようなものとして捉えられています。

こうした連続した時空では、2つの点は空間的に可能な限り近くに存在し、2つの事象は時間的に可能な限り近くで発生します。

しかし、「因果集合理論」では空間と時間をなめらかな連続につながったものとは考えていません

この理論では、時空を極限まで分解していくと原子のような離散的(飛び飛びの値で変化する)な塊になると解釈しています。

つまり、時空には最小の基本単位が存在するというのです。

映像が小さな画素の集合であるように、時空間も最小単位が因果で結ばれた集合かもしれない
映像が小さな画素の集合であるように、時空間も最小単位が因果で結ばれた集合かもしれない / Credit:canva

今この記事を読んでいる画面も、なめらかな一枚の画像に見えるでしょうが、当然虫眼鏡などで拡大すれば、それは小さな1ピクセルの画素が並んでいるものだとわかります。

空間も同様に分割されていて、その最小単位以上にはお互い近づくことができないかもしれないというのです。

この考え方の何が重要なのかというと、この理論に従った場合、ビッグバンやブラックホールのような特異点の問題がきれいに取り除くことができるからです。

なぜなら、この理論では時空を無限に小さく圧縮することが不可能だからです。

時空には最小単位の「時空の原子」があり、その大きさを超えて小さくなることはありえないため、特異点が存在しなくなるのです。

では、ビッグバンに特異点がない場合、宇宙の始まりはどのようなものになるのでしょうか?

次ページビッグバンは通過点に過ぎない

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