永久凍土には何万年も以前の未知のウイルスや細菌が封印されている可能性がある
永久凍土には何万年も以前の未知のウイルスや細菌が封印されている可能性がある / Credit:canva
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永久凍土の融解で100万年封印されてきた「未知のウイルス」が解き放たれる

2021.10.27 Wednesday

Permafrost thaw could release bacteria and viruses https://www.esa.int/Applications/Observing_the_Earth/Permafrost_thaw_could_release_bacteria_and_viruses
Emergent biogeochemical risks from Arctic permafrost degradation https://www.nature.com/articles/s41558-021-01162-y

緯度の高い寒冷地では、一年を通して地面の中の氷が溶けない「永久凍土」が存在します。

しかし、永久凍土層が現在、温暖化の影響により融解する可能性が危惧されています。

永久凍土が溶けた場合、メタンの放出などさらに温暖化を悪化させる恐れがありますが、欧州宇宙機関(ESA)及びNASAの新しい研究は深刻な影響がそれだけではないと警告しています。

ESA-NASAの研究は、北極圏で急速に溶ける永久凍土層からは、何万年も封印されてきた未知の細菌や未発見のウイルス、さらには冷戦時代の原子炉や潜水艦の放射性廃棄物まで放出される可能性があるというのです。

研究の詳細は、9月30日付で科学雑誌『Nature Climate Change 』に掲載されています。

太古のものを封印する永久凍土

永久凍土の深くに最大100万年に及ぶ古い時代のさまざまなものが封印されている
永久凍土の深くに最大100万年に及ぶ古い時代のさまざまなものが封印されている / Credit:canva

永久凍土とは、北半球の約2300万平方キロメートルを覆う、1年を通して凍りついた土の層です。

表面は季節によって溶けることもありますが、地中深くに行くほど温度は下がるため、永久凍土の深い層ほどより古いものが閉じ込められています

特に北極圏の永久凍土のほとんどは100万年前のものだといわれています。

そこには何千年にも渡って微生物の他に、自然のプロセスや事故、あるいは人間による意図的な保管によって、さまざまな化合物が収容されてきました

しかし、永久凍土が名前の通り凍りついている時代は終わりに近づこうとしています。

最近の研究では、気候変動により北極圏が世界の他の地域よりも、はるかに速く温暖化が進んでいることがわかってきました。

現在の推定では、2100年までに地表近くの永久凍土層の最大3分の2が溶けてしまう可能性があると考えられています。

そうなると、永久凍土に長く封印されてきたさまざまなものが、世界に解き放たれることになります

まず真っ先に危惧されるのが、温室効果ガス(二酸化炭素とメタン)の大気中への放出と、景観の急激な変化です。

しかし、ESAとNASAによる最新の研究では、永久凍土融解の影響はもっと深刻な事態を引き起こす可能性があると警告しています。

それは未知の細やウイルス、核廃棄物を含む有害な化学物質が放出される可能性です。

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