光遺伝学を用いた脳細胞の刺激例
光遺伝学を用いた脳細胞の刺激例 / Credit:J. BARNEY BRYSON et al . Optical Control of Muscle Function by Transplantation of Stem Cell–Derived Motor Neurons in Mice (2014) . Science
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マウスの脳に光ファイバーを刺し込んで友達を変更することに成功! (3/3)

2022.03.18 Friday

前ページ嫌いな相手でも好きになっちゃう

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スイッチ1つでみんな仲良しの楽園になる

人間に応用できれば戦争がない世界が実現するかもしれません
人間に応用できれば戦争がない世界が実現するかもしれません / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

今回の研究によってマウス社会性を制御する回路(コミュニケーション回路)の存在と神経活動パターン(コード)が判明しました。

あるマウスが他のマウスに対して示す社会性は、コミュニケーション回路の活性度(主に相手の好き嫌いの判断)や特定コード(開始と終了を決める)にかかっていたのです。

このことは、社会性や好感度といった複雑な精神活動が、単純な回路やコードの制御下に置かれていることを示します。

(※制御下にあるシステムは複雑でも制御スイッチが単純でした)

また追加の実験として、遺伝操作で自閉症にしたマウスの脳に電極を刺し、神経活動パターンの観測を行ったところ、健康なマウスたちで観測されたコードがみられないことが確認されました。

この結果は、自閉症など社会性に問題がある精神障害が、コード生成の異常に起因することを示唆します。

つまり自閉症は細胞や遺伝子レベルの異常ではなく、神経ネットワークの異常に起因する可能性があるのです。

自閉症マウスの脳の観測結果も、コミュニケーション回路が仲間と物体の違いに反応する一方で、社会性にかかわるコード生成ができていないことが示されています。

研究者たちは現在、自閉症をはじめとした精神症状がある人間の子供の脳を調査して、コード生成と社会性の関係を調査しているとのこと。

もし人間の脳で社会性にかかわる脳回路やコードが自由に操作できるようになれば、どんな相手に対しても友好的になれる、楽園のような世界が訪れるかもしれません。

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