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現存種ラットのDNAをちょっとずつ置き換えて絶滅種に変換する計画!

2022.03.22 Tuesday

An extinct rat shows CRISPR’s limits for resurrecting species https://www.sciencenews.org/article/crispr-de-extinct-christmas-rat-species-gene-editing
Probing the genomic limits of de-extinction in the Christmas Island rat https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(22)00249-4

少なくとも絶滅種の見た目は復活できるようです。

デンマークのコペンハーゲン大学(UCPH)で行われた研究によれば、絶滅したクリスマス島のネズミの遺伝子を現存するラットの遺伝子に少しずつ押し込んでいくことで理論上、全遺伝子の95%を絶滅種のものに置換できる可能性がある、とのこと。

この方法ではロケットエンピツのように、絶滅種のDNAを押し込むことで、現存種のDNAを押し出し、遺伝情報を入れ替えていきます。

つまり既存種をトランスフォームさせて絶滅種を新たに作るのです。

これは絶滅種の体細胞から取り出した遺伝子を受精卵に入れるクローン技術とは一線を画す方法です。

理論が実現すれば、絶滅種を集めた「絶滅動物園」ができるかもしれません。

研究内容の詳細は2022年3月9日に『Current Biology』にて公開されています。

ラットのDNAをちょっとずつ置き換えて最終的に95%を絶滅種のものにする

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Credit:ジョセフ・スミット、1887年ロンドン動物学会の議事録 

絶滅した種を復活させる方法として、これまで最も有力だと考えられていたのはクローン技術を使うものでした。

クローン技術では体の細胞から取り出した核を受精卵に入れることで、その核の持ち主と同じ遺伝子を持った赤ちゃんを作ることが可能になります。

同様に絶滅した動物のはく製や骨格標本から細胞の核を取り出して、近隣の種の受精卵に入れることができれば理論上、絶滅種を新たに産みなおすことが可能になります。

しかし残念ながらこの方法は現状、上手くいきません。

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Credit:Canva . ナゾロジー編集部

はく製や骨格標本から採取された細胞核は年数に応じて劣化が進んでおり、多くの場合、中のDNAはズタボロになっています。

既存のクローン技術が上手くいくのは、生きた細胞から取り出した新鮮な核と完全なDNAを移植しているからであり、はく製など死んだ細胞から取り出した劣化した核やズタボロのDNAでは、受精卵に入れたところで赤ちゃんを作ることはできなかったのです。

映画のジュラシックパークでは琥珀の中に閉じ込められた恐竜の血を吸った蚊からDNAを回収する描写がありました。

非常にもっともらしい方法に思えますが、これも実際には、DNAがかなり劣化したズタボロ状態のためうまくは行かないでしょう。

そこで今回、コペンハーゲン大学の研究者たちはズタボロになったDNAの効率的な再構築を試みました。

研究者たちが目をつけたのは、1900年代に絶滅したクリスマス島のネズミです。

この絶滅したネズミも、はく製の状態で保存されていたためDNAが細切れに断片化した状態にありました。

ですが研究者たちは断片化したDNAを1つ1つ解読し、近縁のラットのDNAと対応させてデータ上で再配列することにしました。

研究者たちはこの方法を、参考書の内容をもとにバラバラになった教科書のページを並べなおす作業に例えています。

そして作業の結果、絶滅したクリスマス島のネズミの95%の遺伝子を繋ぎ合わせ、自然な配置に戻すことに成功しました。

遺伝子工学の進歩により人類は既に、ある程度の長さのDNA断片を人工的に作ることが可能になっています。

研究者たちは、このレシピをもとに、現存するラットの遺伝子をCRISPR技術などで人工的に作った絶滅種の配列と置き換えていくことができれば、絶滅したネズミと見た目そっくりな個体を作ることが可能になると考えています。

(※CRISPR技術は目的とする遺伝子を極めて簡単な手順で改変することができる非常に優れた遺伝操作技術であり、開発者にはノーベル賞が与えられています)

しかしそうなると気になるのが、残りの5%です。

なぜ復元は95%に留まっているのでしょうか?

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