11〜12Cの中東で発明された「手榴弾」を発見か
11〜12Cの中東で発明された「手榴弾」を発見か / Credit: canva, Carney Matheson et al., PLOS ONE(2022)
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12世紀の「手榴弾」発見? イスラム教徒が十字軍撃退に開発した可能性

2022.04.30 Saturday

Ancient hand grenades: Explosive weapons in medieval Jerusalem during Crusades https://phys.org/news/2022-04-ancient-grenades-explosive-weapons-medieval.html Archaeologists Find Fragment of Medieval Hand Grenade http://www.sci-news.com/archaeology/medieval-hand-grenade-10745.html
Composition of trace residues from the contents of 11th–12th century sphero-conical vessels from Jerusalem https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0267350

中東各地の遺跡では、9〜15世紀に作られたセラミック容器が大量に出土しています。

それらの容器は、上部が球状で、下部につれて細くなるイチゴ型をしているのが特徴です。

その用途は、これまでの研究で、ビール用のコップ、水銀をためる器、薬や油を入れる容器など、多岐にわたることが知られています。

このほど、豪グリフィス大学(Griffith University)の研究チームは、イスラエルの都市エルサレムにて、11〜12世紀頃のセラミック容器4つを新たに発見。

調査の結果、そのうちの1つは、爆発物を中に仕込んだ「手榴弾」として使われたことが示唆されました。

チームは、この手榴弾が十字軍の砦に対して投げ込まれたものと考えています。

研究の詳細は、2022年4月25日付で科学雑誌『PLOS ONE』に掲載されました。

中東で開発された「オリジナルの手榴弾」か

イチゴ型のセラミック容器は、エジプト〜中央アジアに至るまで中東全域で広く見つかっています。

容器のサイズは、直径数センチ〜20センチ以上、厚みはわずか数ミリ〜1.5センチ以上と様々です。

基本的なデザインはどれも共通していますが、容器の内側から検出された化学物質の分析により、幅広い用途があったことがわかっています。

今回の研究では、エルサレムのアルメニア地区にある11~12世紀の遺跡から、4つの容器断片が発見されました。

内側に付着している化学物質を調べたところ、3つは香油や薬剤など、以前にも知られているものでしたが、1つの断片から、可燃性の爆発物と見られる化学物質が検出されたのです。

そこには、グリセロール、硝酸塩、硫黄、リンなど、火薬にも含まれている物質が発見されました。

爆発物の検出された容器断片、中世の手榴弾か?
爆発物の検出された容器断片、中世の手榴弾か? / Credit: Carney Matheson et al., PLOS ONE(2022)

この点から、研究主任のカーニー・マチソン(Carney Matheson)氏は「当時の中東で独自に開発された”手榴弾”の可能性が高い」と指摘します。

世界最初の火薬は9世紀の中国で発明され、その後、13世紀までに中東やヨーロッパに伝わりました。

しかし、今回の容器から検出された爆発物は、中国から伝わった火薬とは成分が違うため、現地で開発されたオリジナルの爆薬と考えられています。

また、他の3つの容器がかなり装飾性の強いデザインであったのに対し、こちらは何の飾りもないシンプルなものでした。

このことからも、実用性を重視した手投げ弾の可能性が高いようです。

他の容器は装飾性が強い
他の容器は装飾性が強い / Credit: Carney Matheson et al., PLOS ONE(2022)
装飾の施された容器断片
装飾の施された容器断片 / Credit: Carney Matheson et al., PLOS ONE(2022)

具体的な使われ方としては、当地のイスラム教徒たちが、キリスト教カトリックの十字軍の砦に対して投げ込んだと推測されています。

十字軍(crusade)は、中世にヨーロッパのカトリック諸国が、聖地エルサレムをイスラム教徒から奪還することを目的に結成した遠征軍です。

実際、容器断片の見つかった場所の近傍には、十字軍の築いた要塞跡が存在します。

イスラム教徒らは、十字軍を撃退するために、独自の爆薬を開発したのかもしれません。

マチソン氏は「これらの容器と爆発物について、より詳細な研究を行うことで、中世の爆発技術や、東地中海の爆発物兵器の知られざる歴史が明らかになるでしょう」と述べています。

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