人間の認知能力を奪っていたのは毒の花と呼ばれる構造だった
人間の認知能力を奪っていたのは毒の花と呼ばれる構造だった / Credit:NYU, COURTESY OF SPRINGER-NATURE PUBLISHING
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Evidence Mounts for Alternate Origins of Alzheimer’s Disease Plaques https://nyulangone.org/news/evidence-mounts-alternate-origins-alzheimers-disease-plaques
Faulty autolysosome acidification in Alzheimer’s disease mouse models induces autophagic build-up of Aβ in neurons, yielding senile plaques https://www.nature.com/articles/s41593-022-01084-8

2022.06.10 Friday

脳細胞に咲く「毒の花」がアルツハイマー病の真の原因と判明!

私たちはとんでもない勘違いをしていたのかもしれません。

米国のニューヨーク大学(NYU)で行われたマウス実験によって、長年アルツハイマー病の原因と考えられてきたアミロイドベータの蓄積は、真の原因が起こした副次的な結果にすぎない可能性が示されました

研究ではアミロイドベータが蓄積するより「かなり前」の段階で、既にマウスの脳細胞が麻痺状態にあり、「毒の花」と呼ばれる異常な構造が発生している様子が示されています。

アミロイドベータを排除するように設計された薬がどれも効果を発揮できていないのも、真の原因となる「毒の花」を見過ごしていたいたからだと考えられます。

認知能力を蝕む、美しくも恐ろしい「毒の花」の正体とはいったい何なのでしょうか?

研究内容の詳細は2022年6月2日に『Nature Neuroscience』にて公開されました。

アミロイドベータの蓄積がはじまる前に何かが起きていた

1枚目の画像
Credit:Ju-Hyun Lee et al . Faulty autolysosome acidification in Alzheimer’s disease mouse models induces autophagic build-up of Aβ in neurons, yielding senile plaques(2022) . Nature neuroscience

よく見るアルツハイマーを特集したテレビ番組や解説動画などでは、毒性のある「アミロイドベータ」と呼ばれるタンパク質の蓄積が原因で脳細胞が死に、アルツハイマー病を引き起こしていると述べられています。

このアミロイドベータが原因とする説は「アミロイドカスケード仮説」と呼ばれており、ここ30年にわたりアルツハイマー病の原因と考えられていました。

しかし奇妙なことに、アミロイドベータの蓄積を妨害したり分解したりするように設計された薬を投与しても、アルツハイマー病の進行を止めることはできませんでした。

原因を叩いているのに結果が変わらないのならば、考えられる理由は「技術的な問題」か「仮説そのものが間違っている」かのどちらかです。

そこで今回、ニューヨーク大学の研究者たちは、遺伝操作でアルツハイマーになるように運命づけられたマウスの脳細胞を詳細に観察し、アミロイドベータ蓄積の前に何か他の異変が起きていないかを確かめることにしました。

結果、マウスの脳細胞に、まるで花のような形をした異常な構造が出現していることを発見します。

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