人工重力施設ルナグラス(左)とマーズグラス(右)
人工重力施設ルナグラス(左)とマーズグラス(右) / Credit:(左)京都大学総合生存学館 宇宙・地球環境災害研究会宇宙生物学ゼミ(YouTube)_02 ルナグラスと交通機関(2022), (右)京都大学総合生存学館 宇宙・地球環境災害研究会宇宙生物学ゼミ(YouTube)_01 マーズ・グラス
space
月・火星での人工重力施設開発(京大・鹿島共同研究)―コアテクノロジー(核心技術)による縮小生態系の確立を目指す― https://space.innovationkyoto.org/2022/07/06/coretechnology_kyoto_kajima/

2022.07.11 Monday

月や火星に住むための人工重力施設「マーズグラス」を京大が提案!

月や火星に長期間滞在する有人探査も計画されている現代、人類が地球外で生活する日も近づいているのを感じます。

もし人類が宇宙で生活するようになった場合、そこには何が必要になるでしょうか?

NASAは月や火星の低重力環境が人間の長期的な生活の大きな課題になることをあげています。

そこで京都大学(大学院総合生存学館SIC有人宇宙学研究センター)と鹿島建設株式会社は、月や火星に住むための人工重力施設開発に向けた研究に着手すると発表

「ルナグラス」「マーズグラス」と呼ばれる、人工重力を発生させる施設のコンセプトを公開しています。

詳細は、2022年7月6日付の「SIC有人宇宙学研究センター 記者会見報告」に掲載されました。

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「グラスのような人工重力施設」や「六角形の惑星間移動システム」を考案

宇宙空間や火星で生活するための課題の1つに「低重力」問題の解決があります。

現在、子供の誕生や成長に対する低重力の影響は十分に研究されていません。

科学者たちは、「重力がないと哺乳類はうまく誕生できず、仮に誕生できたとしても正常には発育しない恐れがある」と考えています。

他にも重要な課題はありますが、地球の重力を宇宙で再現することは、重要な技術となるでしょう。

そこで京都大学の研究チームは、月や火星における人工重力施設の開発に取り組むことにしました。

火星の人工重力施設マーズグラス
火星の人工重力施設マーズグラス / Credit:京都大学総合生存学館 宇宙・地球環境災害研究会宇宙生物学ゼミ(YouTube)_HEXATRACK SYSTEM – Space Express – CONCEPT connecting MOON-MARS and BEYOND(2022)

彼らが考案した施設は、「ルナグラス」「マーズグラス」と呼ばれており、直径200m、高さ200~400mの「巨大なコップ」のような構造をしています。

この施設では、「グラス」が回転することで、遠心力(向心力)が発生。

月の人工重力施設ルナグラス
月の人工重力施設ルナグラス / Credit:京都大学総合生存学館 宇宙・地球環境災害研究会宇宙生物学ゼミ(YouTube)_02 ルナグラスと交通機関(2022)

これにより地球と同等の重力を生み出すことができるといいます。

そして人間はこの「グラスの内側」で生活します。

内部には居住エリアだけでなく、海や森林など地球を模倣した生態系も再現されるようです。

マーズグラスの内部。地球の自然環境を再現
マーズグラスの内部。地球の自然環境を再現 / Credit:京都大学総合生存学館 宇宙・地球環境災害研究会宇宙生物学ゼミ(YouTube)_01 マーズ・グラス

研究チームは、「居住者たちは、普段は重力のある施設内で過ごし、仕事や研究、レジャーのときだけ、月や火星の低重力を楽しめる」と述べています。

また、このように生活の中心を人工重力施設に置くことで、宇宙で生活していても、いつでも地球に帰還できる体を維持していけるでしょう。

さらに研究チームは、惑星間を移動する人工重力交通システム「ヘキサトラック」も考案しました。

惑星間交通システム(左)とルナグラスの周囲を移動する「スペースエクスプレス」(右)
惑星間交通システム(左)とルナグラスの周囲を移動する「スペースエクスプレス」(右) / Credit:京都大学総合生存学館 宇宙・地球環境災害研究会宇宙生物学ゼミ(YouTube)_HEXATRACK SYSTEM – Space Express – CONCEPT connecting MOON-MARS and BEYOND(2022)

人間は新幹線サイズの専用車両「スペースエクスプレス」に乗り、拠点都市間を移動できます。

そして惑星間の移動には、これらスペースエクスプレスを収納する六角形のカプセルが利用されるようです。

スペースエクスプレスの車両が六角形のカプセルに収納。その後、他の惑星に向けて射出される
スペースエクスプレスの車両が六角形のカプセルに収納。その後、他の惑星に向けて射出される / Credit:京都大学総合生存学館 宇宙・地球環境災害研究会宇宙生物学ゼミ(YouTube)_HEXATRACK SYSTEM – Space Express – CONCEPT connecting MOON-MARS and BEYOND(2022)

ちなみにチームによると、この装置を利用するなら、月-火星間の移動中も地球と同じ重力を保つことができるのだとか。

これらはガンダムなどに登場するスペースコロニーと、同じように遠心力を利用することで擬似的に重力を生み出すものとなるようです。

今後の予定について研究チームは、「具体的な人工重力施設が装置としてどのようにあるべきか、生態系をどこまで再現するべきか、人文的、法的、制度的にどのようなものが必要であるかを検討していく」と述べています。

これら発表された案がどこまで実現可能なのかは不明ですが、これから研究に着手するようなので、今後の成果に期待したいですね。

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