男性のY染色体が喪失すると、心臓病のリスクが高まる
男性のY染色体が喪失すると、心臓病のリスクが高まる / Credit:Depositphotos
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Many Men Lose Y Chromosomes as They Age. Now We May Know Why It’s So Deadly https://www.sciencealert.com/losing-a-y-chromosome-can-be-deadly-in-men-now-we-might-know-why Loss of male sex chromosome leads to earlier death for men https://medicalxpress.com/news/2022-07-loss-male-sex-chromosome-earlier.html Loss of Y Chromosome A Cause of Earlier Death in Men? https://www.technologynetworks.com/tn/news/loss-of-y-chromosome-a-cause-of-earlier-death-in-men-363693 Why Y matters? 加齢によるY染色体喪失が心不全の悪化につながることが明らかに https://www.omu.ac.jp/info/research_news/entry-01481.html
Hematopoietic loss of Y chromosome leads to cardiac fibrosis and heart failure mortality https://www.science.org/doi/10.1126/science.abn3100

2022.07.19 Tuesday

男性の方が平均寿命短い理由 「男性しか持たないY染色体の喪失」が関連

ヒトを男性と女性に分けるのは、細胞の中にある性染色体です。

女性はXX型の染色体をもち、男性がXY型の染色体をもっています。

そして最近、大阪公立大学・大学院医学研究科に所属する佐野 宗一(さの そういち)氏ら研究チームは、高齢男性の白血球にみられるY染色体の喪失が、心臓病の発症リスクを増大させていると発表しました。

この発見は、心臓病の死亡率を低減させられるのに役立つかもしれません。

研究の詳細は、2022年7月14日付の科学誌『Science』に掲載されました。

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男性の老化とY染色体喪失

男性特有のY染色体は、加齢に伴って徐々になくなっていくことが知られています。

この現象は、「Y染色体喪失」と呼ばれており、主に血液細胞である白血球で生じます。

70歳以上の男性の40%は、血液が正常な細胞とY染色体が喪失した細胞が入り混じった「モザイク状態」になっていると言われています。

加齢によってY染色体が失われ、細胞のモザイク化が進む
加齢によってY染色体が失われ、細胞のモザイク化が進む / Credit:Depositphotos

Y染色体喪失とモザイク化は、高齢の男性にとって一般的な症状なのですね。

ちなみに、Y染色体喪失は生殖細胞では生じないため、子供に受け継がれて、「Y染色体のない子がどんどん広がっていく」ということはありません。

では、この白血球におけるY染色体喪失は、男性に対してどのような影響を与えるのでしょうか?

これまでY染色体は、「ただ性別を男性にするだけの役割しかもたない」と考えられてきました。

しかし近年の研究から、Y染色体喪失は、寿命の短縮やアルツハイマー病、また心臓病などと関連していると判明。

もちろん、関連があるからといって、直接的な因果関係が証明されたわけではありません。

老化した結果、心臓病やアルツハイマー病、そしてY染色体喪失が生じやすくなる」のか、もしくは、「Y染色体喪失によって、心臓病やアルツハイマー病のリスクが高まる」のか判断できていないのです。

では、因果関係を明らかにするにはどうすれば良いでしょうか?

老化していないサンプルで、Y染色体を強制的に喪失させ、健康状態がどのように変化するのか調べれば良いのです。

今回研究チームは、この問題をマウス実験で検証することにしました。

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