顔がいい女子生徒はオンライン授業で成績が下がると判明!
顔がいい女子生徒はオンライン授業で成績が下がると判明! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
psychology

魅力的な女子生徒はオンライン授業で成績が下がると判明!

2022.11.20 Sunday

2022.11.19 Saturday

私たちは美しい人間をみると、知性や誠実さなど実際には持っていないかもしれない特性を期待してしまいます。

この効果は「美しさのプレミア」として知られており、雇用の現場や人間関係などさまざまな場において、私たちの人生に深い影響を与えることが知られています。

スウェーデンのルンド大学(Lund University)で行われた研究によれば、顔が魅力的な女子生徒ほどオンライン授業において、成績が低下する傾向にあることが判明した、とのこと。

男子生徒ではそのような違いはみられなかったことから研究者たちは、美しさによるプレミア効果の背景には、男女で異なる原理が潜んでいる可能性があると考えています。

教育現場における「美しさ」は、どんな効果をうんでいたのでしょうか?

研究内容の詳細は2022年8月6日に『Economics Letters』にて公開されました。

Attractive female students no longer earned higher grades when classes moved online during COVID-19 https://www.psypost.org/2022/11/attractive-female-students-no-longer-earned-higher-grades-when-classes-moved-online-during-covid-19-64251
Student beauty and grades under in-person and remote teaching https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S016517652200283X

顔が魅力的な女子学生はオンライン授業で成績が下がると判明!

顔がいい女子生徒はオンライン授業で成績が下がると判明!
顔がいい女子生徒はオンライン授業で成績が下がると判明! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

これまでの研究により、外見だけで、人生の成功をある程度まで予測できることがわかってきました。

積み重ねられた研究結果は、魅力的な人々は子供時代から学校の成績が高く、大人になってからは高い賃金を得て、結婚後にはより沢山の子供を作り、犯罪行為に関与する可能性が低くなると示しています。

もちろん、魅力的な人が必ずしも成績が良かったり高収入だったりするわけではありません。

しかし調査規模が大きくなるにつれ、魅力はさまざまな好ましい結果と相関していることが明らかになってきます。

この効果は「美しさのプレミア」として知られており、心理学において大きな研究テーマとなっています。

しかし美しさのプレミアがどんな仕組みで発生するかについては、まだよくわかっていません。

美しさのプレミアが本人の自信に裏付けられたものであれば、生産的なものとして認める人もいるでしょうが、ときには裏付けが全くない、完全な見た目の贔屓(差別)に過ぎない場合もあります。

経済においては、見た目にもとづく差別はときに営業やプロモーションの現場において積極的に活用される場合もあり、それが良い事なのかを含む、さまざまな議論がなされています。

一方、教育の場においては、見た目が成績に影響を与えることは一概に、好ましくないと考えられています。

しかし残念なことに、教育の場にも「美しさのプレミア」が存在することが示されており、さらに悪い事には、教育現場における美にもとづく差別は、あまり研究が進んでいません。

教育者は美による差別をしてはいけないものという観念が先立ってしまい、現に発生している差別について理解しようとする試みが妨げられているからです。

しかし新型コロナウイルスによるパンデミックは、大きな転機になりました。

オンライン授業では、教師は生徒の顔を簡単にはみることができないため、外見にもとづく差別が困難になったからです。

そこで今回、ルンド大学の研究者たちは、対面式授業とオンライン授業の両方において、学生の「顔の魅力」が成績に与える影響を調べることにしました。

実験にあたってはまず、307人の大学生の顔写真の魅力について、74人の人間に1点(魅力ナシ)から10点(魅力最高)の間で点数をつけてもらい、授業形態と成績との関係を分析しました。

結果、魅力が高い生徒は一般に、成績が高い傾向にあることが判明します。

ただ科目ごとに魅力の影響は大きく異なっており、数学や物理の成績など、テストの結果が全てである科目では、対面式でもオンライン形式でも、魅力の影響はほとんど存在しませんでした。

一方で、プレゼンテーションやディスカッションなどが評価に含まれる科目においては、魅力の高さが成績の高さと強く相関していることが判明します。

また魅力の高さの影響は、男女でも大きく異なっていました。

男子生徒の場合、教師が魅力の影響を受けやすい対面式でも魅力の影響を受けにくいオンライン形式の授業でも、個人の魅力の高さと成績の高さには変化は見られませんでした。

(※注意:男子学生の場合はオンライン授業でも美しさのプレミアが維持されていました)

一方女子生徒の場合、対面式の授業にくらべてオンライン形式の授業では、魅力の高い生徒は成績が低下してしまうことが判明します。

特にオンライン形式の授業による成績への負の影響は、魅力が高い女子生徒ほど大きくなることもわかりました。

つまり魅力的な女子生徒にとって、オンライン形式の授業は、対面式の授業で得られていたハズの「美しさのプレミア(成績のプラス効果)」を損なう要因となっていたのです。

しかしそうなると気になるのが、その理由です。

実験に参加した大学教員全員が、女子生徒に対してだけは、魅力に応じて成績に手心を加えていたのでしょうか?

次ページ明確な犯人の顔がみえない差別問題

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