核爆発が襲ったとき室内で最も安全な場所を発見!
核爆発が襲ったとき室内で最も安全な場所を発見! / Credit: Ioannis W. Kokkinakis . Nuclear explosion impact on humans indoors (2023) . Physics of Fluids
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核爆発の衝撃から生き残れる「屋内のもっとも安全なポイント」が判明!

2023.01.19 Thursday

室内だからといって安心できません。

キプロスのニコシア大学(University of Nicosia)で行われた研究によって、核攻撃による爆風が室内をどのように広がるかシミュレートしたところ、最も安全な場所が明らかになりました。

研究では、コンクリート製の頑丈な建物内にいる場合を想定しており、爆発が起きた方向に面した「壁の裏」に隠れることが最も安全である可能性が示されました。

一方、ドアや窓そして廊下では風速が最も早く、最大で体重の18倍に相当する力で体を吹き飛ばされる可能性がありました。

研究内容の詳細は2023年1月17日に『Physics of Fluids』にて公開されています。

How to shelter from a nuclear explosion https://www.eurekalert.org/news-releases/976596
Nuclear explosion impact on humans indoors https://aip.scitation.org/doi/10.1063/5.0132565

核爆発が襲ったとき室内で最も安全な場所を発見!

核爆発が襲ったとき室内で最も安全な場所を発見!
核爆発が襲ったとき室内で最も安全な場所を発見! / Credit:Canva

ロシアによるウクライナ侵攻がはじまってから、世界の人々は再び核戦争の恐怖を身近に感じるようになってきました。

しかし多くの人々は核戦争が起きたときにどうするべきか、具体的には、核爆発が起きてから爆風が到達するまでの僅かな間にどう身を守るべきかを知りません。

1951年にアメリカで核戦争時の民間防衛のために作られた映画「ダック・アンド・カバー」によれば、屋外で核爆発を目撃した場合、とにかく「屈んで身を隠す」ことが重要であると告げられています。

ですが多くの人々にとって核戦争は屋内で「体験」する可能性が高いため、屋内における最適な隠れ場所を知っておくことは重要でしょう。

そこで今回ニコシア大学の研究者たちは核爆発によって発生した爆風が屋内をどのように通り抜けるかをシミュレートし、屋内の安全地帯を探すことにしました。

核爆発が襲ったとき室内で最も安全な場所を発見!
核爆発が襲ったとき室内で最も安全な場所を発見! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

研究では上の図のように、破壊力750ktの戦略核クラスの爆発を爆心地からやや離れた「中規模被害範囲」で受けた場合を想定しています。

中規模被害範囲では木造家屋の多くは倒壊すると考えられていますが、コンクリート製の頑丈な建築物なら爆風に耐えられるとされています。

核爆発が襲ったとき室内で最も安全な場所を発見!
核爆発が襲ったとき室内で最も安全な場所を発見! / Credit: Ioannis W. Kokkinakis . Nuclear explosion impact on humans indoors (2023) . Physics of Fluids

また屋内の間取りは上の図のように4つの部屋と廊下で構成されており、爆風は「1」と書かれた部屋の窓から入り込むとされました。

〇印は比較的安全な場所、△は多少はマシな場所、髑髏マークは危険な場所
〇印は比較的安全な場所、△は多少はマシな場所、髑髏マークは危険な場所 / Credit: Ioannis W. Kokkinakis . Nuclear explosion impact on humans indoors (2023) . Physics of Fluids

結果、上の図のように、室内を進む爆風の強さは場所によって大きく異なり、ドアや窓といった爆風の出入り口が最も危険であり、次いで廊下でもかなり大きな力がかかることが判明します。

一方で、爆発が起きた方向に面した「壁の裏」は比較的安全であることがわかりました。

また核攻撃が起きたときに運悪く廊下にいた場合でも、ドアや窓のそばにいるよりも、隅に隠れているほうが安全であることも示されました。

研究者たちは爆発の瞬間から爆風が到達するまではわずか「数秒」であるため、素早く移動することが重要であると述べています。

「九死に一生」をテーマにしたテレビ番組などでは、ちょっとした位置取りの差が人生の明暗を分けたケースがよく紹介されますが、それは核爆発の衝撃においてもあり得ることのようです。

いざという時に備え、自分の家や職場で安全地帯となる場所を探しておくのもいいかもしれません。

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